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【随筆】生と愛


 生きるということは「愛を享楽する」ことだと私は思う。生と愛という概念は別々では考えることはできないものであり、理性をもつ人間は愛に喜びを感じることができる。
 多くの人は誰かに愛されたいと願うが、誰かを愛するということを怠っていることがほとんどである。愛というのは、自ら愛することが先立つ。愛されるから愛する、のではなく、愛するから愛されるのである。つまり、多くの人は生きることを怠っているのである。
 また、愛されたいと願う人にだけ愛を与える、というような都合のよいことは決してできない。愛するという行為をどんな人にも遂行しようと常々考えていないと、本当の意味で愛するという技術は習得できない。
 そう考えると、愛するという技術を習得するのはかなり困難なことであると言える。この世の中で、愛するという技術を習得できている人はどれほどいるのだろうか。もしかしたら一人もいないのかもしれない。故に、生きるということを「本当の意味で」できている人は一人もいないのかもしれない。
 だからといって、愛する技術を習得することを諦めてはいけない。私たちには、愛する技術が足りない分もっと人生を楽しむ伸びしろがあると言える。生きる過程は愛の技術を修練する過程であると言えるかもしれない。私たち人間は、よりよい人生をいきるために、愛する技術を習得できるようもがく必要がある。

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