横山 起也

横山起也 小説家/編み物エヴァンジェリスト。NPO法人 LIFE KNIT 代表。チューリップ株式会社顧問。株式会社日本ヴォーグ社顧問・ナビゲーター。小説『編み物ざむらい』(角川文庫)。『どこにもない編み物研究室』(誠文堂新光社)。オンラインサロン『未来手芸部』運営。

横山 起也

横山起也 小説家/編み物エヴァンジェリスト。NPO法人 LIFE KNIT 代表。チューリップ株式会社顧問。株式会社日本ヴォーグ社顧問・ナビゲーター。小説『編み物ざむらい』(角川文庫)。『どこにもない編み物研究室』(誠文堂新光社)。オンラインサロン『未来手芸部』運営。

マガジン

  • ヒロシ と 103匹のヒロシ

    ヒロシについて話さねばならない時がきたのが、私にとって幸いなのかはわからない。

  • 編みキノコ小説

    編みキノコの生態・編みキノコ界の事件を描いた小説をまとめています

  • 掌編小説

    ごく短い小説をまとめています

最近の記事

「ヒロシと103匹のヒロシ」001 ヒロシについて大体のこと

ヒロシについて話すことが、私にとって、そしてヒロシにとって幸福なことなのかはまだわからない。 でももう話さなくてはいけない。 私はそう思う。 ・大体のヒロシについて 大体のヒロシは陽気である。 いい奴か悪い奴かでいえば、大体はいい奴だ。 ・ヒロシの数について ヒロシは103匹いて、名前はみんな「ヒロシ」である。 自分のことを話すときは 「ぼくは63番目のヒロシです」 というように、番号を自称する。 その順番が何をしめすのかはいまのところわからない。 ・

    • 掌編小説 『先生、三組の山田君は本当に天狗なんですか?』

      「三組の山田は実は天狗らしいぞ」 そんな噂がクツジのクラスに流れたのは、夏休みも近いある日のことだった。 確かに三組の山田君はいつも天狗の面をかぶっている。そのお面の下を見たものはなかったし、皆慣れてしまっていたのでいまさら気にするものもいなかったのだ。 (うわあ、お面だけかと思ったら山田君は本当に天狗だったんだ) クツジはクラスの情報屋を自称しているお調子者のキクスケがクラス中に吹聴しているのを聞きながら胸の中で呟いた。 クラスが違うといえど山田君はクツジの家の近く

      • 編みキノコ 放浪記 「女神の泉」(短編)

          童話に出てくるような綺麗な泉のほとりにでた。  覚えず、目を奪われている間にも光はその色を刻々と変えていく。  すると突然、水面が風もなく波立ち、ざわざわと光を乱すと、湖から女神が現れたではないか。 「編みキノコよ……」  女神は浮かび上がり、全身から青い光を放ちながら編みキノコに話しかけた。  「そなたが落としたのは……」  編みキノコは困惑した。  自分は何も落としていない。   しかし、編みキノコが口を開く前に、女神は両手を空に向けて差し出した。 「こ

        • 編みキノコ 寄生小説 「犬とキノコ」(短編)

           自分の頭からキノコが生えているのはいったいいつからだろう。  犬は考えた。  少なくとも物心ついた時分にはすでに生えていた気がする。  でも犬はキノコが生えていても飼い主に可愛がられていたし、友だちの犬たちも仲良くしてくれていたので特に気にすることはなかった。  そう、今日までは。  今朝、いつものように心地よい眠りから目を覚ますと、なんと、頭上のキノコが語りかけてきたのだ。 「すいません。犬さん、目をお覚ましになられたでしょうか?まだお眠りでしょうか?すいません」

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        • ヒロシ と 103匹のヒロシ
          1本
        • 編みキノコ小説
          3本
        • 掌編小説
          1本

        記事

          編みキノコ 不倫小説 「愛と胞子」 (短編)

          「前略 皆様方 初夏の足音が待ち遠しいこの頃、皆様におかれましてはご健勝のことと存じます。 まず皆様に私はお詫び申し上げなければなりません。私がいなくなりましたのは皆様がどこかで思われている通り、旅行ではないのです。 私は皆様の前から逃げ出したのです。 「 『私がザルの上から生えているには理由があるのです』 などと思わせぶりなことを口にしたあと急に逃げ出してしまうなど編みキノコの風上にもおけぬ、とお怒りの方もあるのは無理もないことと私も思っております。 「そのことに関して

          編みキノコ 不倫小説 「愛と胞子」 (短編)