マイナス転じて福となす
若い頃は、何かマイナスのことがあると、「何でこんな目に合うんだろう?」と悲劇のヒロインのように落ち込んだ。
でも、結果的にマイナスの出来事がきっかけで様々な気付きが生まれ、新しく生まれ変わった部分もある。
20代の終わりのころ、東京(途中から川崎に転勤)まで会社通勤していた時、自宅から自宅の最寄り駅まで車移動していた。
かなり駅に近づいていた時、信号待ちで立ち往生した。
その時、脇見運転・ノーブレーキの車が後ろの車に追突。
バックミラーには、どんどん迫ってくる車が見えているのに、反対車線を車が走っているので、出たくても出られない、どうしたら良いのか、と思っている時に、車に追突された。
運良く、わたしの車の後ろに横断歩道があり、距離があったため、衝撃は緩和されたが、わたしと前後の車の3台が被害に遭った。
その日は年末の最終日で、絶対休めない、と思っていたのだが、首にコルセットをはめられ、救急車で運ばれることに。その後、被害届を出しに、警察にも行くことになった。
被害が軽かったこともあり(軽いむちうちで全治1週間)、ハイになったのか、ちょっと明るく会社を休む連絡をしたら、仮病だと思われ、電話に出た方にちょっと厳しめの対応をされた。
まあ、最終日に休むほうも休むほうだが、ちょっとは心配して欲しかったな。その時は、寒空に薄着で立っていたので、年末年始は風邪で寝込むこととなった。
加害者は保険に入ってなかったため、菓子折り1つで、車の修理代は自分の保険から出すことに。しかし、修理代の半額しか保険金が下りなかったので、車は廃車にして、思い切って1人暮らしすることにした。
前から親には独立を促されていたが、こんなことがなければ、なかなか1人暮らしする決心はつかなかったはずだ。
仕事が終わった後に、週3回、四谷三丁目まで夜間の絵画教室にも通っていたが、1人暮らししたおかげで、睡眠時間もたっぷりとれるようになった。
今までは人に頼りきりだったけれど、ブレーカーが落ちたり、電球が切れたりしても、すべて自分で対応しなければいけないため、自立心が養われた。
そして、川崎に住まなければ、おそらく公民館で開催されたゴスペルに参加することもなく、運命のような恋をしたり、奇跡のような体験をしたりすることもなかっただろう。
それらを考えると、わたしにとって、事故は無駄ではなかったのだ。
2018年には、自転車で転倒し、腰椎圧迫骨折をした。
その時は、気が上がり過ぎていて、気を抑えようと、こぶしを握りしめ、身体を硬くし過ぎていた。そのため、まだ乾ききっていない道路の段差でスリップすることになったのだ。
尋常でない痛さだったが、集まってくれた近くにいる人々には、気を使って「大丈夫」と言った。しかし、周囲の人々が救急車を呼んでくれたおかげで、無事に(3ヶ月後に)治った。
この時は、足にしびれがあったら、下半身不随になるかもしれない、と言われたが、運良く後遺症もなかった。
おそらく、そう言われたけれど、自分がそんなことになるとは全く考えもしなかったのが、結果的に良かったのだろう。
この時は、周囲のことを気にし過ぎると、自分の身体にとって良くない、ということを教訓として学んだ。
事故に遭ったとしても、身体が緊張していなければ、結構症状は抑えられるらしい。
また、以前、掃除をしていて、ぎっくり腰のような症状になったことがあるのだが、腰を曲げずに膝を曲げることの重要性も学べたため、それ以降はぎっくり腰になっていない。
この時は、体をどう使えば良いのか、を本などで結構学んだ。
結局、今はあまり使っていないが、
などについて知ることができた。
自転車に乗るのは最初のうちは怖いと思ったが、下り坂では足でもブレーキをかけつつ下りる工夫をすることで、今ではふつうに乗れている。
(40数年自転車に乗ってきて、ここまでひどいけがをするのは、はじめてだった)
入院するほうが精神的につらかったので、無理やり半日で退院してしまったが、それでもふだん食べている食事の有難さを知ることができた。入院は中学生の時以来だったので、健康の大切さを改めて知ることができて良かったと思う。
今回の新型コロナウィルスも、外出できなかったり、経済活動ができなかったり、というデメリットもある。
しかし、インドからヒマラヤが見えるほど空気が改善されたり、みんなが互いのことを考えるようになったり、といったメリットも多い。
そして、本当に今まで通りの生活を続けていいのか考えるきっかけになったり、仕事よりも家族の大切さに気付いたり、海外にシフトしていた仕事を国内回帰しようと考えたり、オフィスはあまり必要ないことに気付いたり、いろいろな気付きがあった。
だから、一見マイナスと思えることは、自らの考え方次第で、プラス以上に変えていくことができる。
おそらく、必要なタイミングで、こういった機会は与えられるのかも知れない。