1-14 本性1
ある日の集会の終わり、演壇からこのような指示があった。
「献身している中学生の若者たちは、第二会場に集合して下さい。」
献身とは簡単に言うと聖書的なある程度の知識を得た後、それに基づき神様に使える決意をする事で、これを経てバプテスマ(いわゆる洗礼)を受けるような流れになる。
私は当時、バプテスマこそ受けていなかったが、聖書的な知識も適度にあり、もちろん神様に使える一生を過ごすつもりでいた。つまり献身していた。ということでこの指示に従う必要あった。
ただ不可解なのは、通常はバプテスマを受けた正式なクリスチャンとなっているかそうでないかで区別されることが多いのに、なぜわざわざ献身しているかどうかを条件とするのかという点だった。
もしかすると、今回の集まりにわざわざ私を参加させたいなんらかの理由があるのかもしれない。わたしを巻き込むことが目的なのかもしれない。
となると、シンイチの一件について長老たちが何らかのアクションを起こすつもりなのだろうか?そんな考えが頭をよぎった。
そして、集会が終了した後、献身した中学生の若者たちは第二会場と呼ばれる小さな部屋に集まった。
と言ってもシンイチと私以外に四、五名いる程度の人数だ。そして私以外は皆バプテスマを受けていた。
こうやってみると、やはり招集条件が私を参加させることを目的としているのは明らかだった。
こういう集まりはそうそう開かれるものではない。そのため、集められた若者はいったい何事かと困惑していた。