1-5 なすべきこと2
帰宅後、あの有名な訪問勧誘活動……正確には「家から家への伝道」だとか、「奉仕」だとか言われているアレに参加し、それが終わって帰宅した夕方、一本の電話が鳴った。
電話に出たのは母親だった。受け答えからして何となく相手が長老かなとわかった。
電話が終わると母親はこう言った。
「何かおかしい。」
電話してきたのは、シンイチの父親塩田ではなく、会衆にもう一人いる補佐的な長老、林山だった。その林山長老の話した内容はこんな感じだったそうだ。
オタクの子供に悪行者呼ばわりされたせいで、息子さんがひどく傷ついているとの話を塩田長老から聞いた。見逃せる事案ではないので明日の夕方、お宅の子供を連れて王国会館(集会所のこと)まで来て欲しい。そこで話し合いを行いたい。
私の親は事実を説明したものの、どうやらこちらが悪者にされている様子だった。
もし参加しなければ、神への冒涜だとか言い出しかねない。なので参加せざるを得ない。しかし、このまま塩田一家の術中にはまることは避けたい。
私は親にお願いして、もう一人の目撃者である友人宅へ電話を入れてもらった。そして今回の件が変な方向に行こうとしていることを説明してもらった。
幸い向こうの親御さんも正しくクリスチャンであろうとしている数少ない人たちであったので、必要があれば証人となる旨約束をしてくれた。
話を聞く限り、塩田一家の手はまだこの友人宅には回ってないようだった。
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