本当はわかっている
見えないものにこそ心を奪われ
答えのないものにこそ救われる
迷いに迷って
結局ここに帰ってくる
夜の帳が下りて
まるで嘘みたいに 当たり前の町を包んでいた
灯りの消えた住宅街を ゆっくり、ゆっくりと歩いていく
ふと しばらく先の家から 赤ん坊の鳴き声が聞こえた
カーテン越しの明かりが灯って
きっと 優しい母親が我が子を抱いているのだろうと
限界のない愛など この世にあるのだろうか
際限のない恋なら いくつか見てきたけれど
彼 はたまた 彼女も
尊い 二人の人の子が産み落とした恵みなのだな
僕はどうだろう
今の僕は どうだろう
今度こそ灯りの消えた住宅街を ゆっくり、ゆっくりと帰っていく
夜の帳が下りて
まるで愛おしむみたいに 当たり前の町を包んでいた