読書|市街地ギャオ【著】メメントラブドール
終始、口淫。
主人公は会社員であり、コンカフェの店員でもあって、ふたつのiPhoneを駆使して社会生活を送っている。男の子でいたいが、男の娘を求められたりして、生活の破綻が予感する。
文中より
性欲を満たすことと受け止めることばかり考えて生きているせいで、情緒的な感性なんかが死んでいるのかもしれない。
人生はきっとローグライクの地獄でしかない。
憮然とした態度が私たちふたりだけに通じる共通言語になっているのだとしたら、
性癖に支配されて純粋に追い求めて過ごす事は学生時代ならば、その研究を大いに進められるであろう。だが社会人として、稼いでいかなければ生きられない現実で、癖を極めてばかりはいられない。
最後に救いのある物語が好きだ。
無言の中にふたつの体温があって、梅雨が明けていく。
触れる肩が汗ばんで夏がやってきている。
ただそれだけが幸せで美しい。