無いことにしてる感情
〈ノンバーバル〉での欲求ワークが苦手だった。
そもそも欲求そのものが、よく分からなかった。
どうしても、それが欲しいという感情。
どうしても、それを譲れないという感情。
そんな感情は、あんまり湧いてこなくて。
目の奥で、それを訴えるということが、
なんだか掴めなくて。
奪われるのも、きっと何か意味があるはずだからって、あえて衝突することを避けようとする自分がいた。
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今回の欲求ワークは、椅子取りゲーム。
どうしてもその席が欲しい。どうしてもその席を守りたい。内がわに強い意志をもって、目の奥で伝える。
📯第一ラウンド。
わたしは、奪われる経験をした。
相手の強い意志に勝てなかった。わたしは、席を譲った。
そしたら、わたしの中に、悔しさが沸き起こった。悲しかった。苦しかった。
大切なものが奪われる。それも意味があるから仕方がない、なんて思えなかった。そんなの嫌だ。絶対に嫌だ。大切なものを守りたい。取り返しにいきたい。
とっさに、もう一度、その席に挑んだ。
その席を譲れと、強い気持ちで向かった。結局、取り返せなかった。
悔しくて涙が滲んだ。
第一ラウンドがおわって、奪い合った相手と健闘を讃え合った。
📯第二ラウンド
悔しさを胸に、わたしは、強い意志で、この席を守ると決めた。
この席を取りに来た相手に、譲らないと、目の奥で伝え続けた。内がわに、男性的なエネルギーが満ちて、戦士のような気持ちが宿っていた。
相手は負けを認めて去っていった。
守り抜いたあとは、意外にも心が静かだった。歓喜も闘争心もなく、平穏な日々が戻ったことに、温かい気持ちにさえなった。
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自分の内がわに、激しい感情や、闘争心、戦士のような男性的な強さやがあることは、ちょっと意外で、面白い体験だった。
感情の蛇口を捻るって、こういうことなのかな…。
演技指導のもえちゃんがいつも言ってることが、ちょっとだけ、分かった気がした。
無いことにしている感情も、ちゃんとあるんだって、発見して、感じてみて、思いっきり外にだして。
〈ノンバーバル〉は心の筋トレみたいだ。
終わったあとは、ズシンと重たくて、ぐったりで、そして、スッキリして、軽くなって、ちょっと強くなる。
2022年5月28日
(文責:キャストゆうき)