プールの中で考えている
小さいころからプールが好きだった。
5歳から母がスイミング・スクールに通わせてくれたおかげなのかもしれないけど
水にふれること、水中で身体を動かすことに対して抵抗がなく今の今まで生きてきた。
友達はみんな口をそろえてプールが嫌い、
と言っていたが(私も学校のプールの授業特有の空気感は好きではない)そんなことないのに、泳ぐのが楽しくてしょうがないのになと思っていた。
プールサイド、消毒のにおい、更衣室、シャワーの音、鳴り響くホイッスル、冷たいと叫ぶ声、紫色の唇で震えている友達
水の中、曇ったゴーグル、逆立ちと宙返り、ビートバンでサーフィン、鼻に水が入って痛い、浅いプールでワニ歩き、死んだふりみたいに浮く
昨日のことのように思い出せる。
やっぱり楽しかったな・・・。
大人になった今でも週1、2回のペースでプールに通っている。
健康維持や運動不足解消の目的で行っているというのもあるけど純粋に泳ぐことが好きだから自然と続けている。
わたしはいつもクロールと平泳ぎ25mを交互に泳いでいる。
クロールはギターのストロークのようにしなやかに淡々と、平泳ぎはアルペジオのようにやさしくおだやかに、なんとなくそんなイメージで。
1月の真冬の寒い時期でも、室内温水プールは賑わっている。それぞれいろんな目的で泳ぎに来ているからなんとなく観察してしまう。
ウォーキングをひたすらするおじさん
子供にプールの楽しさを教えるお母さん
友達同士でワイワイ楽しそうに泳ぐ中学生軍団
まるでサメ映画のように激しく水しぶきを上げながらクロールを泳ぐお兄さん
前世はトビウオだったのかと思わせるほど滑らかにバタフライを泳ぐおばさん
泳ぎながら、そんな人たちを眺めている。
そして私は、どんな風に泳ごうか
なんてふと思ったりする。
『曇ったゴーグルで何が見えるんだろう』
『背泳ぎをしたら外の世界は見えるのかもしれないけどきっと何かにぶつかるよ』
『息つぎの瞬間、一瞬世界がきらきらしてみえた』
頭の中で断片的なフレーズが生まれていく。
たのしい。
プールはいつも私に気づきを与えてくれる。