心の琴線
ルネ・マグリットは、私の敬愛する画家の一人です。
そのきっかけになったのは、中学3年生の美術の授業で、好きな画家の作品を一つ決めて模写をする、という課題でした。
先輩達が、モネ、ゴッホ、ピカソ、ムンク、フェルメール…いろいろな画家の作品を模写していたのを見て憧れていた私は、とてもワクワクした気持ちを覚えています。
そして、私が選んだのは、ルネ・マグリットの心の琴線という作品です。
ルネ・マグリット《心の琴線》1960年、油彩・キャンバス、個人蔵
この白い雲は、雲なのかもしれないし、柔らかい生クリームか綿菓子なのかもしれない。そして、山と青空のひんやりとした空気は、透明なデザートカップと、なんと相性の良いことか。
美しく、静かで、シュールで、完璧なほどの均整のとれた作品に、とても感動しました。
私にはもう、意味や説明は必要ありませんでした。この作品が、ただただ好きになり、気に入ったのでした。
その後、大学では美術史を専攻し、卒業論文でもマグリット関連の研究をしました。このnoteでも、マグリットの作品は多く取り上げていくことになると思います。
また、この「心の琴線」も掲載されている、小学館の週刊美術館10 マグリット・ミロという書籍は、良書で私はおすすめです。
マグリット作品は、光の帝国や大家族といったシリーズが特に有名ですが、この本では、それらの作品に加え、「心の琴線」をはじめとする、展覧会でもなかなか見られないようなレアな作品もいくつか掲載されています。