何が起こっても、心を折らない
NYに滞在していたある日、日本のマネージャーから一本の連絡が入りました。キャスティング会社からの問い合わせで、AMIは今NYから動けるのかと。
提示された日程がちょうどぽっかり空いていたこともあり、NYのマネージャーがすぐにGOサインを出したところ、程なくして決定の連絡がきました。
パリ・マカオでの撮影でした。
◆代打、パリ撮影
実はその撮影、私は別のモデルの代打でした。元々決まっていた子が急遽ビザの関係で来れなくなったらしく、パリ・マカオの両撮影日程にすぐに動けるアジア人モデルが必要だったようです。
リゾートホテルの広告の仕事とだけ聞いて、久しぶりのパリ、そして初めてのマカオに期待を膨らませて、まずはパリに飛びました。
NYからパリまではおよそ8時間。いつものように時差ぼけに苦しみつつも、スタジオに到着しました。
着いてから知ったのですが、フォトグラファーは以前にNYのビューティー撮影で一緒になったことのある、女性デュオでした。またヘアスタイリストの男性も、以前NYFWのショーでお世話になったことのある方。嬉しい再会に会話も弾みました。
モデルは、私を含めた3人のレディースモデル。白人1人にアジア人2人という構成。
撮影が始まると、白人モデルのカット数が膨大であることがすぐにわかりました。衣装チェンジからヘアメイクチェンジまでとっても忙しい。でも、疲れる〜と言いながらもどこか嬉しそうな彼女。そしてたまにもう1人のアジア人モデルと組みで撮影。スチールも撮っていましたが、どうやら動画がメインのようで、中々に時間がかかっていました。
それにしても、私は呼ばれない。。
他の2人はあんなにひっきりなしに撮っているのに、一向に呼ばれる気配がない。。。バスローブ姿で横たわり、時差ぼけを治す時間まであったほどです。
ついに呼ばれた!と思ったら、手のカット。もう1人のアジア人モデルの”手”として、テーブル上にあるケーキをフォークで取ろうとする動作をひたすら撮りました。いや、私の手が綺麗なのはわかるけどさ、、笑
その後に呼ばれたのは、脚のカット。いつ現れたのか、スーツ姿のメンズモデルが両脇に立ち、私が履いているロングブーツを片側から引っ張って脱がせようとするシーンを撮りました。さらにそれだけでは終わらず、今度は2人がかりで私を横抱きにするというバリエーションも撮ることに。相当な体力を要しましたが(特にメンズの1人は倒れそうになるくらい頑張ってた…!抱きかかえられてる私も意外と辛い、、!)、モニターに写っていたのはスーツに包まれた彼らの腕と、ブーツを履いた私の脚。
メンズたちはその撮影を終えると帰っていきました。
あれ、、なんか気づいてしまったんだけど、これって私以外の2人がメインモデルで、私はサブなのかな…?
元々そう言われて臨む撮影だったらいいのですが、現場で自ら察知するって結構精神的ダメージを受けます。。。チームはとっても素敵だし、現場の雰囲気も悪くないのですが、自分の立場に急に気づいてしまって…少し悲しくなりました。
とはいえ、スチールの1人カットもあったので(ようやく顔が写ったの!笑)、ここぞとばかりに精一杯努めました。私のカットは割と派手なヘアメイクだったので、フォトグラファーもノリノリで撮ってくれました。
◆準備万端で!マカオ撮影
パリからNYへ戻ってから一週間後、今度はマカオへ。さすがカジノの街、煌びやかな街並みに圧倒されつつ、撮影もラグジュアリーなホテルで行われました。
パリの2日間を終え、もはや撮影時間よりも空き時間の方が長いとわかっていたため、今度はいろいろな暇つぶしグッズを持っていきました。初めから分かっていると、気持ちの対策もできるからすごく助かる。
案の定、「ここの部屋はAMIが好きに使っていいからね」と待ち時間用に広々としたホテルの一室を割り当ててもらいました。
本を読んだり、ゲームをしたり。途中NYの事務所から、オーディションに送る資料として自己紹介動画を送ってほしいという連絡が来たときも、何度も撮り直す余裕がありました。
そうした時間の過ごし方が功を奏したのか、撮影のときは集中して、数少ないカットも全て気持ち良く臨むことができました。
終わった後はみんなで夜ご飯を食べ、カラオケへ。フランス語、英語、中国語、日本語が混ざり合い、歌って踊る夜に!
フォトグラファーも現地コーディネーターも皆盛り上がっていましたが、一番盛り上げてくれたのは最年長のクライアント。誰彼関係なく一緒に踊ってくれました。
そういえばパリで私が時差ぼけに苦しんでいたときも、彼女が「遠慮せず横になりなさい!」と自分の座っていたソファを譲ってくれたなぁと思い出しました。彼女がいてくれたお陰で、どの役割の人も、全員が楽しく撮影を終えることができたように思います。
そして最後はフランス流にお別れの挨拶。「これは本当に大切な人にしかしないのよ!」と言ってほっぺに3回ビズをしてくれました。2回は良くあるけど、3回、、!彼女の愛情深さが伝わってきて、とっても嬉しかったです。
◆得られるものは必ずある
そんなパリ・マカオ撮影。
スチールはどこに掲載されているのかわからず、唯一上がった動画には、やはり手と脚しか写っていませんでした。笑
それでもいい経験になったと思えたのは、急に予期せぬ撮影に当たったときの自分の気持ちの持っていき方を知れたこと、いいチーム、そして愛のあるクライアントと仕事ができたことが大きいのだと思います。特に上に書いた彼女とは、またいつかどこかで絶対に再会したい!
ちなみに、動画が上がってしばらく経った頃、フォトグラファーのSNSに私の写真が上がりました…!上がりを自分の目で見れたこと、そしてフォトグラファーがこの写真を気に入ってくれたのかと思うと、それだけでとても嬉しい気持ちになりました。
撮影って予期せぬことが起こるし、寒かったり暑かったり、体調管理がうまくいかなかったり、気持ちが揺らぐこともあるけど、それでもなんとかやっていった先に、これまた予期せぬ嬉しいことが待っているんだなと、身をもって感じた出来事でした。
だから次にこういうことがあっても、また頑張れるはず、、!笑
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