効果的な言葉を使う
仕事柄、人と話す機会が多い。
教える・・・というのが主な内容なので、どう言えばより伝わりやすいか、という点を意識して話しているつもりだが、
ちゃんと伝えたいことを理解して貰えているだろうか?
レッスンの内容が間違って伝わってないか?
そもそも私の話を聞いてくれてる?
と、不安を感じる時がある。
特に、話を聞いてくれていない・・・と感じる時が一番へこむ。
こんなに理解してもらおうと、ない頭をひねって言葉を尽くして話しているのに・・・とがっくりくることがたまにある。
何が悪いのだろうか?と人知れず悩んだりする。
元来、人を褒めるということがあまり得意ではない。
育てられ方が悪かったのか、
(親から褒められた記憶はほとんどない)
人間の出来が悪いのか、
嘘がつけないというのは本当だが(?)
大人なんだから、相手が喜ぶ嘘ぐらいついても良さそうなもんだけど、どうも、本当の事をつい口走ってしまう・・・という大人げのなさだ。
それでも、お金を頂く以上は、少しでも楽しんで貰わないと、次に繋がらず、いずれ生徒がゼロになり廃業となるわけだが、どうにかこうにか30年以上続けてこれてるので、自分で思うよりは、嫌な思いはさせてない・・・ということだろうか。
いや、私の言葉足らずのせいで、きっと何人かは、愛想を尽かし教室から去っていったはずだ。私が知らないだけで・・・
ただひとつ言えることは、適切な言葉で相手が困っている原因や、つまずいている理由を伝え、こちらの言いたいことを理解して貰わなければレッスンは成り立たないということだ。
教えてもらい、その技術が少しでも向上しなければ、習う方はレッスン料を払う意味がない。
見て覚えてね・・・という職人気質丸出しでは、生徒さんは戸惑うだけなのだ、特に近頃は。
相手のよいところを見つけて、褒めることも、上達への近道だと思う。
自分が何かを習う時、全然褒めるところがなくても、先生という立場の人から、何か何処かひとつでもいいから褒めて貰えると、本当に嬉しいものだから。
ただ、褒めてばかりでは、これまた、面白味が薄れてくる。
だって、習いに来る・・・ということは、今より上達したいと思っているからであって、ただただ、褒めて貰っていい気分になりたいだけ・・・って人はあまりいないと思うので。
(たまに、そういう人もおいでになるが。)
上達してもらうためには、
心が折れない程度にダメ出しすることも必要だと思ってきたけれど、
先日、ある人から「魔法の言葉」を教えてもらった。
あまり詳しくは書けないけれど、
要するに、視点が違ってたんだと、目から鱗、だった。
「私の話をちゃんと聞いて」・・・は、私目線であって、相手からしたら、「こちらのことは考えてくれていない。」という何とも上から目線の利己的な言葉だったのだ。
こちらの話を聞いてもらうためには、その先を聞きたくなるような声掛けが必要だと気づかせてもらった。
先日のことだが、レッスン中に、偶然その言葉を生徒さんにかける場面が現れた。
毎回、あまり私の助言は聞かず、ご自分のやり方を通そうとする生徒さんなのだ。
オリジナルは尊重するが、プロのやり方にはそれなりに洗練されているものだし、理屈も通っているのだが、そこをなかなかご理解いただけていなかった。
その時もいつもと同じで、
「こちらの話を聞かず、自分の思い込みでやろうとしてるな。」と感じ、ちゃんと話を聞いてもらいたいな、と思ったその瞬間に、奇跡的に(物忘れがひどい私にしては・・・)思い出したあの言葉を使ってみた。
すると、どうだろう。
「どういうことですか?」
と、いつになく真正面から私の目を見て問い返してこられたではないか。
こっちの方が驚いた。
何て効果的な言葉なんだ!
一方的に伝えるだけでは、素通りしてしまう話も、その一言を言うだけで、
「えっ、それどういう意味?」
と、その先を聞こうとする耳を持ち、興味津々に話を聞きはじめ、
「そうなんですよね。わたしそういうとこあるのよね。」
と、納得までしてくれた。
魔法みたい・・・と、それを言ったこっちが内心躍り上がりたい気分になった。
ものを教える側は、習う人の立場にたてないと(習う人の気持ちを理解しないと)関係が成り立たないと思う。
ただただ褒めてもらいたい人。
上手くなるために、ちゃんと足りない点を伝えて欲しい人。
そのどちらでもない人。
もしくは、そのどちらも求める人。
全ての要望をかなえるには、私はまだまだ修行が足りないし、上手くやれる自信もない。
ただ、技術を教えている以上、できるだけ生徒さんには、正しい技術を身につけて欲しい・・・という気持ちは持ち続けている。
生徒さんおひとりおひとりの要望や希望を最優先しながら、その人に合った指導ができるように、ダメ出しの言葉ではなく、相手に考えさせる言葉がけを、今後はもっともっと使っていきたい。
そして、習ったことが、その人の人生の中で少しでも糧となり、日々の生活の中の喜びとなるように、手助けをしていきたい。
その一助となる素敵な言葉を教えていただいて、感謝。
忘れずに(笑)効果的に使っていきたい。
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