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あひる/今村夏子

▫️あらすじ
あひるを飼い始めてから子供がうちによく遊びにくるようになった。あひるの名前はのりたまといって、前に飼っていた人が付けたので、名前の由来をわたしは知らない__。わたしの生活に入り込んできたあひると子供たち。だがあひるが病気になり病院に運ばれると、子供は姿を見せなくなる。2週間後、帰ってきたあひるは以前よりも小さくなっていて……。日常に潜む不安と恐怖をユーモアで切り取った、河合隼雄物語賞受賞作。

▫️感想
初めての今村作品。ぞわぞわとした余韻が凄い…。書かれているものは、物語の中で見えているもののみのため、想像しやすい物語感と日常に潜む不気味・違和感・気味悪さが癖になる。具体的には登場人物の顔にモザイクがかかっているかのような、確実に話の内容は理解できているからこそ、不思議な気味悪さを感じることができる。表題作「あひる」は勿論、他に収録されている短編二篇も同等のレベルで楽しむことができた。細部のアイテムから直接的には語られていない真実が語られていたりと、読み込むからこそ味が出る、癖になる不思議な小説体験であった。

▫️こんな人におすすめ
・不気味で奇妙な話を読みたい方
・至高な文学体験をしたい方
・不思議な読書体験を経験したい方

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