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むらさきのスカートの女/今村夏子

▫️あらすじ
近所に住む「むらさきのスカートの女」と呼ばれる女性が気になって仕方のない〈わたし〉は、彼女と「ともだち」になるために、自分と同じ職場で働きだすように誘導し……。第161回芥川賞受賞作。文庫化にあたり受賞記念エッセイをすべて収録。

▫️感想
今まで不気味で心がぞわぞわするような作品は何冊も読んできたけれど、これまでとはまた違った一冊に出会うことができた。タイトルにもなっている〈むらさきのスカートの女〉とその女に執着する〈わたし〉。〈わたし〉の視点から彼女の生活や容姿まで事細かに語られているが、彼女について詳細に語られるほど、〈わたし〉の観察力に気味悪さを感じてくる。物語が進んでいってもなお〈わたし〉が何者なのか、どのように生活しているのか、そしてなぜそんなにも〈むらさきのスカートの女〉に執着するのかが謎に満ちており、読み進めながら様々な疑問が生じ、それらが回収された時、これまで感じたことのない新鮮な読後感が訪れる。

▫️こんな人におすすめ
・芥川賞受賞作を読みたい方
・ぞわぞわする読後感を感じたい方
・人間の怖さがテーマの本を読みたい方

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