選んだ孤独はよい孤独/山内マリコ
▫️あらすじ
地元仲間とのしがらみにがんじがらめになっているアラサー男。つき合った彼女の積極性が怖い男子高校生。仕事ができないことをひた隠しにしているサラリーマン。結婚間近の恋人が出ていった理由が永遠にわからない元彼。役者になる夢を諦めて就職した男ーー。“男らしさ”に馴染めない、情けなくも愛すべき男たち。孤独や哀しさにそっと明かりを灯す、おかしくも切ない物語集。
▫️感想
男性が主人公であったり、“男らしさ”がテーマの様々な分量の短編が収録された一冊。ジェンダーがテーマの作品や、“女性らしさ”を扱った物語がたくさんある中、“男らしさ”に違和感を持ち、生きにくい世界で自分らしく生きる男性たちの物語が描かれている。男性が語る女性の怖さであったり、自分自身は気づいていないが、仕事ができない男性について、上司や部下、同僚の視点で描かれた短編など、女性視点では思いつかないような考えや価値観を吸収することができた。
▫️心に残った一行
P139 「館林さんは、俺が手を伸ばそうとしていたバトンをーー男には必ず回ってくる義務と責任のバトンをーー俺の手から華麗に奪って、放り投げてくれたのだ。」
▫️こんな人におすすめ
・男性視点の作品を読みたい方
・“男らしさ”に違和感を持っている方
・隙間時間にさくっと読書したい方