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1Q84 BOOK1 前編/村上春樹

▫️あらすじ
1Q84年ーー私はこの新しい世界をそのように呼ぶことにしよう、青豆はそう決めた。Qはquestion markのQだ。疑問を背負ったもの。彼女は歩きながら一人で肯いた。好もうが好むまいが、私は今この「1Q84年」に身を置いている。私の知っていた1984年はもうどこにも存在しない。……ヤナーチェックの『シンフォニッタ」に導かれて、主人公・青豆と天吾の不思議な物語がはじまる。

▫️感想
「海辺のカフカ」に引き続き村上作品の世界観に浸る。村上春樹の作品の中でも人気で有名な小説の一つであり、文庫・全6冊となる長編小説だ。注意深く繊細な性格をしている殺し屋の女性・青豆と、予備校で講師をしながら小説家を目指す男性・天吾。主人公であるこの二人の物語が交互に語られていく。1作目では両者の生きる世界線や二人の関係性の繋がりは感じられない。しかし、ところどころで二人の世界で起こっている事件や出来事の共通点がいくつか存在しており、その共通点が少しずつ繋がっていくことで、「1Q84年」の謎が明かされていくのではないかーー。村上作品ならではの美しく、時に切ない比喩も楽しめる、村上春樹の真骨頂的な作品。

▫️心に残った一行
P26 「ーでも見かけにだまされないように。現実というのは常にひとつきりです」

P307 「これは生き方そのものの問題です。常に真剣に自分の身を護る姿勢が大事なのです。攻撃を受けることにただ甘んじていては、どこにもいけません。慢性的な無力感は人を蝕み損ないます」

▫️こんな人におすすめ
・今まで出合ったことのないような比喩を楽しみたい方
・大長編に挑戦したい方
・様々な疑問や謎がたくさん登場する物語を読みたい方

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