英二とミカサ
紛れもない名作である"BANANA FISH"と"進撃の巨人"。
私も心から愛してやまない作品です。
この2作品には最後に最愛の人との別れが描かれているという共通点があります。
英二とミカサは長い長い時間を掛けて最愛の人の死を受け入れ、生きていきます。
そして、英二は独身のまま過ごし、ミカサはジャンと結婚するという、違う選択をしています。
"BANANA FISH"の英二は独身のままアッシュの思い出と共に生きていると思います。
"光の庭"や"NEW YORK SENSE"の後、英二は結婚し子供をもうけ写真家として普通の人生を送っていると吉田秋生先生がおっしゃったという話を目にしましたが、ソースが見当たらず、真偽が不明です。
"NEW YORK SENSE"以降、英二がどう過ごしているかは分からないのですが、少なくともアッシュの死後12年間は独身です。
私は英二は独身を貫いたのではないかと思っています。
アッシュの死から7年後、"光の庭"の英二を見ると、とても新しい恋愛ができるような状態ではありません。
アッシュの死から12年後、"NEW YORK SENSE"の英二を見ると、明るさを少し取り戻したように見え、もしかすると40歳頃に理解し合える女性と出会い結婚したのかもしれないと思えなくもないです。
しかし、どうしても英二がアッシュ以外の人と人生を共にする姿が想像できないのです。
英二に純粋さを求め過ぎて申し訳ないのですが、英二はバディやたくさんの大切な友達と穏やかに過ごしながら、アッシュの思い出と共に生きていると思います。
"進撃の巨人"のミカサはジャンと結婚します。
ジャンはミカサとエレンの側にいてずっと2人を見ていましたし、"ミカサにとってエレンは何よりも特別な存在だ"ということも含めて、ミカサを愛してくれたのでしょう。
エレンはジャンのミカサへの恋心に気が付いていたと思います。
エレンはジャンと喧嘩ばかりしていましたが、真っ直ぐで仲間思いのジャンを心の中では認めており、ジャンが懐の深い男であることも分かっていたのでしょう。
そして、エレンが殺戮者になってでも助けたかった仲間の1人です。
ジャンにとっても死に急ぎ野郎エレンは大切な存在です。
ミカサが結婚するならばジャン以外には考えられません。
最後にエレンがジャンと"道"で話をした時、エレンはジャンに"ミカサを頼む"と律儀に話したのではないかと思っています。
すごく嫌そうな顔をして奥歯をギリギリ言わせながら、すごく小さい声でぼそっと吐き出したのではないでしょうか。
もしくは、ジャンに対しては特に素直になれないエレンですから、"ミカサが幸せになるなら誰のことも恨まない"などと遠回しに伝えたのかもしれません。
ミカサにとってもジャンは104期の盟友であり、友愛はあったでしょう。
ですから、手を繋いだりハグしたりする姿は想像できます。
けれど、キスやセックスをするのには大きな大きな壁があったと思います。
狂おしいほど愛していた人と最初で最後のキスをした唇で、他の男の人とキスができるでしょうか。
ミカサがジャンの気持ちを受け入れるまでには相当な時間が掛かったと思います。
エレンの望み通り、ミカサは10年近くエレンのことを引きずっていたのではないでしょうか。
アニメの最終話のエンディングでは、"天と地の戦い"から3年が経ち、更にミカサとジャンがエレンのお墓参りをするまでに大樹の季節が7年分程移り変わっています。
英二とミカサは絶望の底から時間が掛かっても前に進み続けました。
私はその純粋さと強さに心を打たれるのです。