「在外邦人なんでも1000」No.002 親に必ず遺言を書いてもらう
これは、神田英明氏が発行するニュースレター「在外邦人なんでも1000」のバックナンバーです。
遺産相続は(イ)遺言があれば遺言に従います。(ロ)遺言がなければ全員が集まって遺産分割の協議を行い、全員揃って遺産分割協議書を作成しなければなりません。
子が海外にいる日本の老親が遺言を書かずに亡くなった場合、海外にいる子は厄介な状況に陥ります。話し合いのために海外から日本へ何度も足を運ばれる例も少なくありません。Zoom会議などインターネット機能を活用することも可能ですが、実際に一堂に会さないと話が好転しないことも多いでしょう。この点、遺言があれば、遺産分割の協議を行う必要がないので、一時帰国をすることなくスムーズに相続手続きを行うことが可能です。
日本にいる子が海外にいる子に相続の大幅な減額を言ってくる実例も多いです。時間とお金をかけて一時帰国をしているのに兄弟仲が崩れていくのでは目も当てられません。それ故、たとえ法定相続と同様の内容であっても、遺言さえあれば、黄門様の印籠のごとく親の強い意思として、兄弟が揉めずに遺言に従った遺産相続がなされることになります。
以上の不都合を避けるためにも、今からご両親に遺言(その際は遺言の記載内容に少し工夫を加えることがポイントです)を書いておいてもらって下さい。「海外に相続人がいると手続きも話し合いも厄介みたい、兄弟喧嘩もしたくない」と言えば親の協力も得やすいでしょう。
何といっても「親が元気なうちに全てを決めておく」ことが、最高の状況形成なのです。
「なんでも1000」通算No.007/「在外邦人なんでも1000」No.002
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神田英明(民法学者・東京弁護士会弁護士)
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神田英明氏のプロフィール
民法学者(明治大学)、弁護士(東京弁護士会)、法曹教育の第一人者(司法試験首席合格、20歳合格者を輩出)。教え子弁護士が全国各地に100人。
自身の海外経験をもとに、遺産相続に関するミュンヘン講演(在ミュンヘン日本国総領事館後援)や「親が認知症になる前にすべきこと」のフランクフルト講演、「脳が喜ぶ勉強法」という教育に関するデュッセルドルフ講演、さらには国をまたいだ往来が気軽にできなくなった状況をふまえ、世界規模でのzoom講演(「日本にいる老親のためにすべきこと」など)を開催中。
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