2022 上半期ベストアルバムTop10
こんにちは、飴塚です
初ノートです。初心です。なのにいきなり上半期ベストのこと書いちゃいます。 よろしくお願いします。
10位 JYOCHO『しあわせになるから、なろうよ』
2022年8月3日 誰も予想してなかった七尾旅人の初期作がサブスク解禁。彼の1stアルバムである『雨に撃たえば』では「うた」を限界まで崩した形での表現、2ndである『ヘブンリィ』では「うた」で表現が可能な限りの広がる世界を我々に見せてくれました。
JYOCHOのこのアルバムも同じようにポストロック、マスロックにおける「うた」の限界まで突き詰めたようなアルバムになってます。過去作ではマスロック的な複雑さが抜けきってないように感じることが多かったのですが(それはそれでかっこいい)、今作は第一にメロディの良さが際立つように感じました。マスロックとなるとどうしても複雑さ、幽玄さというのが先行してしまいますがこのアルバムはそれとJ-POP的ともいえるメロの良さがうまく共存してます。こういうアルバムを待ち望んでいた人意外と多いんじゃないでしょうか?
特に「夜明けの測度」はJYOCHO 1の名曲ではないでしょうか?メロもギターテクも轟音も全てが美しくて人懐っこくて大好きです。最後の「ラーラララ」の部分はメンバー全員で歌っているそうです。マジで最高ですね。
この曲の後に続く「忘れないで」もエピローグのようになっていて完成度の高いアルバムとなってます。
9位 宮内優里『Beta』
宮内優里の7年ぶりの新譜『Beta』。とにかくゆる〜いアルバムです。
個人的に日本のエレクトロニカは情景や移ろう季節を映し出すような切なさと同時に「ゆるさ」があって生活に馴染むというところが特徴だと思います。
しかし最近のエレクトロニカはどうしてもビートが強調されまくっていたり、変則的過ぎたりといったものが増えてきてるように感じたりします。それはそれでカッコよかったり没入性があったりするのですが、上記のような「ゆるい」生活のエレクトロニカが聞きたいな…と思っていた時に見つけたのがこのアルバムです。前々から宮内優里は聞いていたのですが、7年ぶりでも大きく作風が変わることなくよりオーガニックになって生活に馴染む音楽になったように感じます。かけ流しておくだけでも心が安らぐような、気づけなかった小さなことに気づけるような、そんなゆとりを生み出してくれるアルバムです。
音楽のある生活の素晴らしさを改めて認識できました。ありがとう、宮内優里。
8位 Kabanagu『ほぼゆめ』
トラックメイカーとしても活躍するKabanaguの2ndアルバム。
このアルバムもまた「うた」と格闘しているアルバムだと思います。全編通して9曲、22分という短さですが「うた」としてのメロディのレベルの高さと伝えたい風景の密度でとんでもない体験ができます。
2曲目「いつもより」では忘れてしまったもの、無くしてしまったものを考えることへのノスタルジーやないものねだりのどうしようもなさが先の読めないメロディ展開でフューチャーベースらしく奏でられ、6曲目「着いたら」では邦ロック…というより2010年代前半のボカロロックのようなギターリフとメロディがハイパーポップのフィルターを通してアップデートされている。
ロキノン系やボカロロックに一度は憧れた人の欲する音楽。これはその完成形ともいえるように思います。予測不可能なのに、メロディが懐かしく心地いい。これからも聞き続けたいです。
7位 ムーンライダーズ『It's the moooonriders』
ムーンライダーズは今年に入ってから知って、まだアルバムも10枚ほどしか聞けてないのですが、このアルバムを聞いた時度肝抜きました。メンバーももうみんなお年なのに、こんなにオルタナティブでメロディアスで焦燥のある音楽が作れるんだ…。と衝撃を受けました。「老齢ロックの夜明け」すごいです...。
1曲目の「monorail」からニューエイジのような厳かな雰囲気かつ幻想的な歌詞で始まり、2曲目の「岸辺のダンス」で爆発するようなイントロ。まだあまり詳しくないですけどこの流れを聞くだけで「ムーンライダーズってこういうバンドなんだ」とわかる構成のように思いました。
他にも私が敬愛するスカートの澤部渡さんが歌詞で参加してる「三叉路のふたり」では3分台のポップソングを岡田徹さんらしく作られていて、「雲と群衆」はサウンドも歌詞も鈴木慶一さん節がバッチバチに決まっていて相変わらずの完成度の高さでした。
なんて歌詞もう鈴木慶一さんにしか作れないですよね。若輩者の自分にもそれはわかります。
「親より偉い子供はいない」なんかは「なんて時代錯誤な...!!」って思ったけどほんとはその裏返しのような愛情の歌で、途中に春風亭昇太が語りで出てきたり、ギターの音、リフのオールド感、レトロな感じが絶妙だったりとほんとに面白い曲です。
こんな感じでメンバーそれぞれが自分の味を出しまくった素晴らしいアルバムになってると思います。ムーンライダーズ、これからもどんどん掘っていきたいです。いつかはライブに行ってみたいなぁ...。
6位 Say Sue Me『The Last Thing Left』
いつの時代もこういうインディーロックは最高ですね。本当それに尽きます。
5位 Mydreamfever『Rough and Beautiful Place』
Parannoulの覆面プロジェクトでもあるMydreamfeverの1stアルバム。Parannoulのような轟音は鳴りを潜め代わりにノスタルジアくすぐられるピアノが鳴り響いてます。本人も好きと公言している「高木正勝」のような音楽性を彼ならではの「青さ」でコーティングして見事ジャケット通り「孤独な青春のサウンドトラック」になっているように思います。
昨年のマイベストアルバムでもあるPorter Robinsonの『narture』にも見られた「どうしようもないノスタルジアと祝祭と退廃の共存」(勝手に自分が言ってるだけ)と同じ空気を纏っていて個人的にドストライクでした。
そういえばPorter Robinsonも高木正勝の大ファンでした。そう考えたら作風が近くなるのも好きになるのも納得です。
4位 藤井風『LOVE ALL SERVE ALL』
突然ですが、私は藤井風の盛者必衰のような死生観が好きです。この若さにして悟りきってるかのように「青春のきらめきの中に 永遠の光を見ないで」なんて言っちゃうスターにしては儚すぎる考え、古い音楽をルーツとして、今の時代にアップデートしてそれを第一線に持ってくる技量。
藤井風にはもう何かが見えてると思うのです。それは音楽の、この国の、彼自身の行く末のようなものが。
悟りきっていながらも自身の音楽のルーツを無下にせず古い音楽に敬意を払い老若男女に支持され、儚いこと言いながらも「明日なんか来ると思わずに、燃えよ」なんてことも言いながらどうにか進んでいくポップスターが私のような「無気力な世代」には必要だと思います。
そんなこんなが詰まった彼のこの2ndアルバムはほんとに最高です。ありがとう、藤井風。
3位 Laura day romance『roman candles 憧憬蝋燭』
ここまでオーガニックなギターロックアルバムはほんとに初めて聞きました。スピッツやホムカミの持つ音楽性をそのままギターロックとして提示するのではなく、アコースティック主体で時にはスライドギターも入れカントリーチックにして、それでいてコーラスワークはPavementのようなインディーらしさを失っていない。Laura day romanceはほんとに今後の邦楽インディーシーンを背負っていくと思います。
特に「winona rider ウィノナライダー」は邦楽インディーにおける金字塔を打ち立てたように思います。ギターの広がり方も、ベースの温もりも、誠実なドラムもどれもどんな名曲にも引けを取らない。
そのうちお洒落な映画の劇伴なんかもやって欲しいですね。
アルバムの流れも言わずもがな最高です。
2位 Big Thief『Dragon New Werm Mountain I Believe In You』
Big Thiefは「メロがいい!」、「ギターがうるさくてメランコリック!」という印象だったのですが、どうやら今回はそれどころじゃないようです。
2枚組、20曲というボリューミーな内容で、実験的な要素が含まれた曲も半数以上で最初聞いていくうちは「試されてるのか??」といったような感じでした。でも曲が終わるたびなぜか暖かさが残るんです。それはやっぱり上記のようなメランコリックなギターや美しいメロディを経てきたから、このようにセッションっぽい曲が多くても、ただ音楽に身を委ねるだけでなく、なにかホッとする気持ちを残してくれるのだろうなと思います。何度もその暖かさを体感したくなるようなインディーフォークの超名盤です。
あと余談なんですけど冬に聞くと(特に川縁なんか歩いてる時)このアルバムほんとに最高なんですよ。夏に聞いてもめっちゃいいんですけど、冬だとこのジャケット通り焚き火のような温もりがサウンドから伝わってくるんです。あー早く冬来い。
1位 羊文学『our hope』
ポップスを聞く人にとっても、インディーを聞く人にとっても、ロックを聞く人にとってもこのアルバムは希望です。
1曲目「hopi」を聞いた時、12曲目の「予感」を聞いた時、私はそう思いました。
いかがでしたか?皆さんにハマる音楽があったらとても嬉しいです。
勉学や部活やらであんまり音楽聞けてないし、専門知識もなくて浅いことしか書けてないですが、また下半期も投稿するつもりなのでどうかお手柔らかにお願いします。
それでは、また。
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