Short>>>Long
Short>>>Long
もう絶対にショートヘアにしないと
少女は誓った。
あの頃は散々、嫌になるほど
短い髪に憧れたのに
失った髪に惹かれるかのごとく
彼女はロングヘアーになりたいと思った。
ただそれが、
過去の思い出に対しての当てつけなのか、
区切りなのかは分からない。
当時の彼女はまだ若く、浅はかで執念深く
長かった髪を20センチきった。
「髪を切ったところで何も変わらなかった。」
変わったとするなら不必要な執着心だけが
残っただけだった。
そのことに気付かぬふりをして、
彼女はそれ以降もその執着心に
固執するように髪を切り続けた。
切ったところで誰にも気づかれない速さで
元に戻り始めようとしているのに。
髪が元の長さに焦がれるように
彼女も当時の気持ちに
焦がれていたのかもしれない。
そんな執着心を持ったまま
大人になった少女。
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