至高の一杯 ~後編~
福島『麺』道中 #3
1.旅のしおり
6/29(土) Day1
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5:00 秋田県角館町発
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9:40 福島市
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11:00 昼食① 「伊達屋」(←now!)
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12:00 裏磐梯・桧原湖
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14:00 昼食② 「山塩ラーメン」
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17:00 猪苗代湖
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19:00 山形県米沢市ホテル着
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6/30(土) Day2へ続く
2.由縁
福島市。伊達屋。午前11時。
その時には、すでに20人ほどが店の前に行列を作っていました。
いよいよ開店。
お店は、店舗の外観そのままに、飾り気のない、実直な人柄が素敵な、ご夫婦で切り盛りされています。
愛想の良い女将さんに案内されて、お店の中に入ります。(早起きの甲斐があって3番手)
僕たち二人は、道路側のカウンターの三人席に通されました。
「三人席に二人」
実は、このお店が名店たる由縁は、その接客姿勢にもあるのです。
並みの有名店であれば、回転率を考え、客をギュウギュウに詰め込んで、(まさに)肩身の狭い思いを強いるもの。
実際に行列の中には、一人で来ている客も居ましたから、相席にして、三人座らせても良いのです。
ところが、そうはしない。
お客さんに出来るだけ、ゆったりとした環境で、ラーメンを味わってほしいという配慮でしょう。(前回訪問時は、テーブルの四人席に二人で座りました。)
世の中に「有名店」は数あれど、「名店」と呼び得るのは、本当に一握りしかないのです。
3.結託
僕と貴景勝くんは、ともに「塩雲呑麺」(1,050円)。トッピングでバター(100円)を注文しました。
前回訪問時は、トッピングを付けなかったので、初挑戦。
見てください。このスープの透明度。
(「見てください」って、言わなくても見てますよね。皆さん。)
それでは、実食。
スープをひとくち。あぁ、旨い。
福島の地鶏「伊達鶏」、そして豚骨や貝類から丁寧に取ったスープは、旨味の飽和水溶液。
思わず、溜め息が出る旨さです。
このスープを点滴に入れて、「60ml/時間」ぐらいの速度で、一日中飲み続けたい。
そんな変質的な欲望に駆られてしまいます。
あえて低加水にしたストレート麺は、ガシガシとした食感。スープとも良く絡んで、相性抜群。
トロトロのチャーシューと、プリプリの海老がまるごと一尾入った雲呑も絶品。(少し時間が経った後の、スープに溶けて、テロンテロンになった雲呑の皮も旨いです。)
すべてが綿密に、注意深くデザインされています。
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「あぁ~旨かった」
あっという間に食べ終わり、残りのスープをチビチビと飲みながら、ふと店内の静けさに気付きました。
そこにいた10名ほどの客が、真剣に、寡黙に、自らが選んだラーメンと向き合っていました。
聴こえるのは、店内に流れるラジオとラーメンをすする音だけ。
恐らく、客たちはこの店に敬意を払い、「模範的な客」であるように努めたのです。
ちょうど、この店の店主が「模範的なラーメン屋」であるように。
そう。名店には、店主と客との間に、ささやかな結託があるのです。
(「福島『麺』道中 #4 」へ続く)
【附記】
バタートッピングは、好みがわかれるかもしれません。
僕は入れない方が好みでした。バターを入れると、少し味がボヤけてしまうような気が。
出来ることならダイレクトで、その旨味を感じたい。
まぁ、ホントに個人的な好みです。