ビジネスケアラーって?
今回は介護がらみの話になります。
「ビジネスケアラー」という言葉、聞いたことありますか?
聞いたことあるようなないような。ヤングケアラーという言葉はもうだいぶ浸透しているように思いますが、ビジネスケアラーについてはそんなに世の中に浸透していないように思います。
AIに聞いてみた
Geminiに聞いてみると次のような答えでした。
Perplexity AIに聞いてみるとこういう答えもありました。
参照先を確認すると、2023年の5月に日本総研からこういう話が出てます。
そして2023年11月に経産省が「ビジネスケアラー支援に向けて「企業経営と介護両立支援に関する検討会」を開催します」というプレスリリースを出しています。
https://www.meti.go.jp/press/2023/11/20231106001/20231106001.html
つまり2023年が、ビジネスケアラーという言葉が公式に使われはじめた時期なのでしょう。となると案外最近のことで、仕事をしている人が働きながら親の介護にあたることを指すということでよさそうです。
ただ家族の介護が必要となって介護離職をする人が出始めたことへの影響は、2010年代半ばくらいから無視できない状況になり、危惧する声が出ていました。40代を中心に、ぽつぽつと組織の中堅どころが抜けるようになってきたからです。
ビジネスケアラーの増加と介護者への制度
このビジネスケアラー、2012年時点ですでに211万人、2020年時点で262万人いるとされています。
この状況を受け、企業の従業員には介護休暇や介護休業の制度がつくられるようになりました。従業員の家庭でこういう状況が発生しているとき、企業は介護している従業員への支援をしなさいよ、ということです。年次休暇とは別枠で付与されるようになっています。介護休暇の場合、有給か無給かは会社によって異なり、介護休業の場合は完全に無給です。
ちなみに私が介護生活へ強制的に引きずり込まれたのが2014年のことです。細かい話は割愛しますが、当時の妻側の親と私の親が半年程度の間にあいついで介護状態になります。それも一気に要介護4や5のレベルに。だんだんと状態が悪くなっていくということはなく、心構えもなにも、準備をする猶予なんてまったく与えてもらえませんでした。
そのため有給休暇をやりくりしながら仕事をしていましたが当時は40代。チームを任されているのにこれではまともに仕事できるわけもなく、降格・休職・退職、考えられる選択肢をかかえて会社に相談すると、急ピッチで制度が用意されたことを記憶しています。後でわかった話ですが、同じような時期に私と同じように介護をする必要性にせまられ、休職に入った人もいたようです。
制度があるなら安心?
制度があるならいいじゃない。休暇・休業制度を使えばいい。介護を実際にやったことのない人の中にはそう思う人も多いようです。ただそうは問屋が卸さないのがこの世の常。
介護というのは介護される方は手厚く扱われるのですが、介護する側は大変な毎日を送ることになります。
たとえば、その1
施設に預ける、支援に来てもらう、いずれにしても時間帯は日中帯が基本で、勤め先が家から近ければよいですが、それでも東京近郊の場合たいてい片道1時間はかかる以上、送り迎えを考慮すると出勤時間は通常より遅く、退勤時間は通常より早くしないと間に合いません。そのため周囲が受け入れてくれていたとしても、職場での居心地は悪くなります。さらにお客さんがいたら、口にださないまでもいい感情はおきないはずです。
たとえば、その2
訪問で医者が来てくれますが、状況の説明や薬の処方を受けるため介護者の付き添いが必ず求められます。居て当たり前のように扱われます。病院へ行く場合はもっと大変です。介護タクシーの手配、付き添い、車いすの用意や移乗の手伝い、電車移動の場合は駅員さんへのお手伝いの依頼もします。介護タクシー、信頼できる業者を探すのも一苦労です。
たとえば、その3
訪問看護でやってくる看護師は介護者を何も知らない部下のように扱います。一番近くで被介護者を見ているのに介護者の言葉はあまり信用しない、その結果ショートカットできはたずのことを1周か2周やり直してようやく理解し、こうしてくださいと指示で言い返されます。
(こちらからしたら、だからあのとき言ったじゃない、になる)
そして、介護するのが当たり前、指示したとおりにやって当たり前のように扱われます。介護者の生活は全く無視されます。
たとえば、その4
契約ごとは要介護4や5のレベルだと介護者にかかってきます。本人にはあの大量の書類仕事はやれません。容赦なくこちらが働いていることも考慮されず、ケアマネや医療・介護業者と介護される本人の都合で様々な予定が決まっていき、病院への付き添い、必要な介護用具の搬入・交換、役所の手続きなども含め1日単位で時間がとられていきます。
これらは全部実際にあったことです。
とうぜん休暇制度で用意された日数などあっという間に消化してしまい、有給休暇も食いつぶします。仕事に行っても集中できなくなります。この結果、いくら制度があっても退職することになるのです。
休業すればいいのでは?という声が聞こえますね。
いえいえ、休業したら無給ですからもっと悲惨ですよ。手持ちのお金がたくさんあれば選択肢に入りますが、このご時世、そういう人はわずかなのではないかと思います。
自分の身は自分で守る
そうはいってもこの状況を自分で乗り越えないといけません。介護に集中し続けると自分の将来を失います。しかも企業に勤めていれば、程度の差こそあれ、親と絶縁していない限りビジネスケアラーになるタイミングがやってきます。
だからこそ、自らで自らの世話ができる環境を作っておかないといけないと思うのです。また介護で社会から切り離されたとしても自分で生きていけるすべを用意しておかなければなりません。
そして、自らの手で自立して生きる道を探すのであれば、自分のやりたいこと、楽しいと思えることで生計が立つようにしたい、そう思いますしそうすべきです。いまの人生はいましかありません。いまが一番若く、チャレンジする気力が一番充実しているとき、ではないかと思います。やるしかない、ですよね。
このnoteでは、こういう境遇の人に向けて自分の生活を立て続けていくための知恵を、アイデアを、シェアしていければいいなと思いながら書いています。