Ames

サンフランシスコ近郊在住のアメフト好きアカウントです。NFL専門で、推しはNew Orleans SaintsとSan Francisco 49ers。 noteの記事ではNFL関係の論文を紹介したり、サラリーの仕組みなどを考察したりしています。

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「サラリーキャップは無意味」が現実になる?〜NFLの契約での「フル保証額」 〜【NFLサラリー談義#1】

「NOファンがリボ払いしてるのを開き直ってる…?」とタイトルを見て思った方も多そうですが、今回は別の意味です。 Jessie Bates IIIの契約延長がまとまらなかった話を見て、最初は「サラリーキャップも余ってるのにベンガルズはケチだなぁ」と思ったのですが、よくよく考えてみると別の事情があるかも、と思い当たったのが記事のきっかけです。 テーマはDeshaun Watson(CLE)の大型契約もあって最近語られることの多い「保証額(guaranteed money)」につい

    • 「タックルの上手さ」が分かる指標を作ろう!【NFLリサーチ紹介#8】

      オフシーズン、NFL的にはかなり暇ですね。ニュースがないとはいえ都知事選と大統領選でTLが埋まるのは勘弁して欲しい。Netflixに大分助けられています。「Receiver」は見てる方多いと思いますが、「America’s Sweetheart: Dallas Cowboys Cheerleaders」も良かったですよ。特に最終回。 1. NFL Big Data Bowlそんな関連番組も全て見てしまった、推しチームの情報も流れてこない、だけどNFLに触れたい…というあなた

      • Russell Wilsonの契約とリリースをLet's Guide:段階フル保証の罠【NFLサラリー談義#9】

        現地3/4、BroncosがRussell Wilsonに対してリーグ新年度の3/13付でのリリースを伝えました。1巡2つと選手含む大型トレードで2022年に獲得し、Let's ride!のスローガンで親しまれ、シーズン開始前に5年$245Mの契約延長を結んでから2年も経っていない今年のリリースてした。 TLでは驚きのツイートが上がる一方で、やっぱり…と言う声も。個人的には、Wilsonのトレードや契約延長には賛否両論あれど、このタイミングでのリリースは驚きはありません。サ

        • NFL論文オブザイヤー2023【NFLリサーチ紹介#7】

          NFL論文オブザイヤー5位 『2016に国歌斉唱で膝着いた選手、キャパニック以外も退団多め』 社会学的な研究です。「抗議活動に参加した社員が所属組織からどういう扱いを受けるか」を研究するのを目的として、2016年にColin Kaepernickが発端となって起きた「国歌斉唱時の膝付き運動」を取り上げています。 研究手法:ESPNのデータから2016シーズンに1回でも膝を着いた選手のリストを作成し、その後のキャリア(当時の所属チームを退団するか)を調べて他の選手と比較し

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        「サラリーキャップは無意味」が現実になる?〜NFLの契約での「フル保証額」 〜【NFLサラリー談義#1】

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          5年目オプションの光と影(後編) 【NFLサラリー談義#8-2】

          前編はこちら 5年目オプションのルール変更 (2021~)今回のテーマの『5年目オプション』という制度、2011年にリーグと選手会が合意した2020年までのCBA (Collective Burgain Agreement, 労使協定)で初めて盛り込まれたものですが、2020年に新たなCBA(2030年までの分)を結んだ際に若干ルールが変わりました。変わった点は大きく以下の2つです。 変更1: 5年目のサラリーが「怪我保証 (injury guaranteed)」から「フ

          5年目オプションの光と影(後編) 【NFLサラリー談義#8-2】

          5年目オプションの光と影(前編) 【NFLサラリー談義#8-1】

          (1) ルーキー契約を延長するのはいつ?1.1. ベテラン契約はいつでも見直せる NFLでは、ルーキー契約を終えた後に延長した契約(「ベテラン契約」と言います)は、いつでも見直しができます。最近だとMahomes(KC)やAaron Donald(LAR)などがSB優勝後に契約がかなり残っていたにも関わらず増額しました(逆に減らした例はMichael Thomas(NO)やAaron Jones(GB)など)。 基本的に延長した契約はいつでも見直しができるため、極端に悪け

          5年目オプションの光と影(前編) 【NFLサラリー談義#8-1】

          他のスポーツの経験はQBに必須?〜NFLでのマルチスポーツ出身アスリートの活躍を追う【NFLリサーチ紹介#6】

          1. Kyler Murrayが復活!昨年のACLの故障から復活し、Week10でNOの地区単独首位を守ったATLを破ったARIのKyler Murray。故障で最大の武器であるmobilityがどうなるのか’?という点が注目でしたが、4Q最後のプレーを見た感じ問題なさそう。 SFと同地区ですが、元々過小評価が酷いなぁと思っているQBで、個人的には応援している選手です。ルーキー契約中にORoYとプロボウル2回を残念なGMとHCの下で取ってるのに、1回プレーオフで酷い負け方

          他のスポーツの経験はQBに必須?〜NFLでのマルチスポーツ出身アスリートの活躍を追う【NFLリサーチ紹介#6】

          デッドマネーは悪か? (後編)Void Year編【NFLサラリー談義#7-2】

          前編の記事では、まとめると 契約を途中で打ち切った場合、その選手の支払い済みのサラリーでキャップに計上していないもの(Signing Bonusの分割分など)が一気に計上される その結果「放出されてロースターにいないのにサラリーキャップには計上される」という事態になり、この分が「デッドマネー」と呼ばれる LACのJ. C. JacksonとDENのRandy Gregoryは、5年契約の2年目で放出されたため、3〜5年目に計上していたSigning Bonusの分割分を

          デッドマネーは悪か? (後編)Void Year編【NFLサラリー談義#7-2】

          デッドマネーは悪か? (前編)トレード/リリース編【NFLサラリー談義#7-1】

          1. デッドマネーが発生する仕組み1.1. NFLのサラリーの種類について まずは、NFLのサラリーの基本から。詳しい方なら知ってる話だと思うので、その場合は飛ばして1.2.へ進んでください。基本的なNFL選手のサラリーはBase salary (基本給)とSigning bonus (契約金)の2種類に分かれており、それぞれ次のように支払う時期とキャップヒット(その年のサラリーキャップへ計上する金額)の扱いが決まっています。 Base salary (基本給) 支払

          デッドマネーは悪か? (前編)トレード/リリース編【NFLサラリー談義#7-1】

          Aaron Rodgersのトレードの鍵〜オプションボーナスという名のリボ払い (後編)【NFLサラリー談義#6-2】

          前編では、ロジャースの契約がplayer-friendlyだという話をしました。後編ではこれが実際のトレードの成立しやすさ、対価にどう影響するかを見てゆきます。 トレードとFAの違い(取る側目線)そもそもですが、NFLでトップ選手を補強する場合、大きく分けてドラフト、FA、トレードの3つの方法があります。 このうち、サラリー的にはドラフトが最も安上がりですが、選手の実力が不明、育つのに時間がかかる(特にQB)という不確定性があり、確実な実力を求めるならFAかトレードです。F

          Aaron Rodgersのトレードの鍵〜オプションボーナスという名のリボ払い (後編)【NFLサラリー談義#6-2】

          Aaron Rodgersのトレードの鍵〜オプションボーナスという名のリボ払い (前編)【NFLサラリー談義#6-1】

          アーロン•ロジャースのトレードがついに成立! 対価は2023年2巡+2024年2巡(65%出場で1巡)に加えて2023年の1巡と下位指名権のスワップで、個人的には「ここまでパッカーズのGMの思い通りに事が運ぶとは思わなかった」というのが正直な感想です(Ames氏の節穴ツイートの数々はこちら→1 2 3 4 5)。 トレードが決まるとは思っていなかったし、決まっても対価はもっと低くなるという予想でした。2023のサラリー一部肩代わりなどもなさそうで、パッカーズの負担が増えるこ

          Aaron Rodgersのトレードの鍵〜オプションボーナスという名のリボ払い (前編)【NFLサラリー談義#6-1】

          1巡でQBを指名すると、現先発QBが発奮する?〜仕事の不安定性とパフォーマンスの関係【NFLリサーチ紹介#5】

          1. NFL選手は追い込まれるとやる気を出す?「背水の陣」「窮鼠猫を噛む」「火事場の馬鹿力」… それぞれの意味は少し違いますが、「追い詰められると力を発揮する」と言う意味の言葉って多いですよね。英語でもHysterical Strengthって言葉があります。 NFLでも、「元々即戦力として期待されて獲得されたわけではないが、スターティングQBの怪我/不調などで先発のチャンスが回ってきて、少ない機会をを活かした」というエピソードは多いように思います。Tom Brady(6巡

          1巡でQBを指名すると、現先発QBが発奮する?〜仕事の不安定性とパフォーマンスの関係【NFLリサーチ紹介#5】

          Michael Thomasが年俸$60MのWRになった経緯〜ロースターボーナスの役割とは?【NFLサラリー談義#5】

          確かにSpotracのMichael Thomasのページを見ると、すごい額が書いています。2024年のキャップヒットは$59M。Rodgers, Mahomes, Watson, Wilson,…数あるQB陣を抑えて堂々の1位。 これを見たら驚くのも無理はありません。 Saintsの番記者ですらMichael Thomasの再構築に関しては全然わかっていない人も多いです。neworleans.footballという素晴らしいサイト(月額購読制)の、Nick Underhi

          Michael Thomasが年俸$60MのWRになった経緯〜ロースターボーナスの役割とは?【NFLサラリー談義#5】

          1巡指名権は当たり前?〜ヘッドコーチの「トレード」の仕組みと歴史〜【NFLサラリー談義#4】

          I. 辞めたコーチになぜトレードが必要?Saintsファンとしては足を向けて寝られない、2006-2021の16年間HCを務めた名将Sean Payton。稀代のQB Drew Breesと共にSaintsを強豪チームへと押し上げました。 今年1月にHC引退を発表したばかりで、本人のインタビュー的には「疲れた」というのが主な引退の理由(プレーオフ争いの中でTrevor SiemienとIan Book先発が5試合もあったら疲れても仕方ない)でしたが、引退後始めた解説者業は既

          1巡指名権は当たり前?〜ヘッドコーチの「トレード」の仕組みと歴史〜【NFLサラリー談義#4】

          これまでに書いた記事のまとめ

          増えてきたので、ジャンル別にまとめておきます。 1. NFLのサラリーキャップ•契約の考察記事#1  「サラリーキャップは無意味」が現実になる?〜NFLの契約での「フル保証額」 〜 「サラリーキャップの条件は満たしているのに契約できない」ということがあり得るという話を書きました。頑張れベンガルズ。(2023年9月追記:無事Joe Burrowと契約延長できました) #2 サラリー年平均(APY)に騙されない! 新契約が出ると必ず年平均(Average per Year

          これまでに書いた記事のまとめ

          NFLで治安が良くなる? –試合当日の犯罪件数の変化を追う【NFLリサーチ紹介#4】

          1. NFLがないと、暇になって犯罪に走る?これはBALのレジェンドMLB、Ray Lewisが2011年のインタビューで残した発言です。「NFLのシーズンがなかったら、(皆やることがなくて)犯罪が増加するよ」と言うことを言っています。 おそらく何気ない発言なのですが、実は意外と深い問題提起です。というのも、「気が紛れる別のアクティビティがあれば突発的な犯罪は少なくなる (crime substitution)」と言う研究結果が知られていて、テレビゲームなどでその効果が示さ

          NFLで治安が良くなる? –試合当日の犯罪件数の変化を追う【NFLリサーチ紹介#4】