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同い歳の革靴

「自分の生まれ年と同じ製造年」って響きに心躍るって事ないですか?
「生まれ年のワイン」をプレゼントする…とか。

自分の場合、靴が好きなので「同い歳の靴」というものを見つけて持ってるんです。

フローシャイム・ケンムーアのコードバンの靴なんですが…。

フローシャイム・ケンムーア

ご覧の通りのエイジングしまくりなヨボヨボな靴なんです。

も〜ね…
こいつがなかなかのヤツでして…

自分は、いわゆる「KK世代」と呼ばれる桑田真澄・清原和博が甲子園を席巻した、あの世代なんです。
他にも東野幸治さんとか、中山秀征さんとか織田裕二さんとか江口洋介さんとか…まぁ、1967年生まれのオッサンなわけですが。

このフローシャイムの靴も1967年製造の靴でして…
フローシャイムは製造年判別の方法があるんですが超長くなるので、今回はすっ飛ばします。
で、そのフローシャイムのコードバン(馬のお尻の革)を使った当時でしたら結構高級な靴なんです。
ホーウィン社というアメリカのタンナー(革製造会社)のシェルコードバンの中でもNo.8というバーガンディ色の革を使って作られた靴です。
コードバンって独特の美しい光沢がある稀少な革なんですが、もう60年近い経年で結構くたびれてまして…
まぁホーウィンのコードバンですから品質は素晴らしく、カッサ棒で抑えてクリームで磨いたらメチャメチャいい艶を出してくれるんですよ。
磨くたびにホレボレするんです。

磨いた直後のケンムーア

で、履くとね…
玄関出て数歩でシワの部分が白くなっちゃうんです。
数歩しか艶を保てないんです…

もうちょっと頑張れよ…。

まぁクリームも入ってるんで、馬毛ブラシでシャシャっと擦れば又白くなったのは戻るんです。

…なので、コイツを履いて出かける際は馬毛ブラシ携帯です。

このフローシャイム・ケンムーアなんですが、ホーウィンの高級な革が使ってあって、しかも60年近いヴィンテージなのに、市場価値は全く高くありません…光沢も保てないヨボヨボ靴。

当時はコードバンの高級ラインという鳴物入りで世に出たのにね…

かく言う自分も隅に追いやられた老兵

自分を見てるみたいで、妙に感情移入してしまう不思議な靴です。

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