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選んで生まれてきたから

私はいまだに兄やんが生まれてきた日のことを
はっきり覚えている。

わたしの母親人生はあの時から始まったんだなと思う。

兄やんが生まれて産後すぐは別室にいて、
昼間兄やんが部屋に来て。
そんで、ベットですやすや寝てて。
「寝てるんだ。起きないかなぁ。でも起きたら
私はこの子の面倒を一生見ることになるんだ」
って思った。
そしてそれからしばらくしておぎゃーと泣いたので
「あーこの瞬間から私はこの子を面倒見るんだ」って
思った。

そして、生まれたての赤ちゃんって
たしか、ガッツ石松と何とかに似てるって
二分されるって聞いてて
兄やんは間違いなくガッツだなって思った。

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もうそれは25年も前の話だけれども。

この間兄やんとLINEしていて
「コロナでなんかいろいろ大変だよね。在宅とかさ」
という話から
「でもさー。あんたが生まれてからって
本当にいろいろあって、、大変だったよね。
阪神淡路大震災、東日本大震災、異常気象に台風・・
そしてコロナでしょう?
こんな時代に産んでしまってすまないねー」
って。
しかも彼はもともと九州に住んでいたのに
私が離婚して東京に戻ってきた。
まだ地方だったら・・もう少し緩やかな日常が
送れたのかもなぁ・・と。

そしたら兄やんは
「俺、自分で選んで生まれてきたから大丈夫だよ」
って。

ほぅ・・・って思った。

彼は自分が母親を選んで生まれてきた記憶があるんだそうだ。

なんでも生まれる前にルーレットみたいなのがあって
色んなお母さんの顔が出てきて選べるようになってて
そんで、私の顔を見た時に
「この人面白そう」って思ったんだって。
ある意味あたりなんだけどね。

親を選んだ記憶もあれば
その時代を選んで生まれてきたのだっていうんだから
なんつうか・・

わたしだったら猛烈に
抗いたいところなんだが
兄やんはものすごく真摯に受け入れているのだ。

わたしだったらなんでこの親なんだろとか
親を選べないんだからしょうがねーとか
もっというと
私の本当の親はどっかにいる。
わたしだけなんかテイストが違う・・
母子手帳だって割とギリに取りに行ってるしとか
わざと丙午に産んだくせに文句ばかり言うし・・と。

間違ってもわたしは親を選んだなんて
死んでもいわねーと思っているのにも
関わらずだよ。

うちの兄やんは
「いや、俺。ちゃんと自分で選んできたんで」って
なんつうか。
自分がものっすごく人間やっててすんませんって
思ったし、もっというと
何故にこげなことを言う子供がいるんだろうかと
思ってしまうのだ。
敗北感っていうか・・なんつうかな。
わたしはどっかで道を誤ったのかとか
生まれた時にすでに間違ってたのかとかね。

もうね。生前記憶おそるべしだよ。

なんか、私が死んだら
三途の川で閻魔様にものすごく説教されそうだよなぁ(笑




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