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【月刊あめのもり】2021年7月「餃子やサラダのお話は、また今度。」
みなさん、こんばんは。アイタイスの雨森です。恒例の月1コラムを書いている今、7月30日の深夜。数時間後にはこの記事は公開を迎えます。
……て、コラッ! またギリギリに書いてるのか!!
何度も「余裕を持ってとりかかる」と決めたのに!!!!
う〜ん。
どうすればこの悪しきスパイラルから抜けられるのでしょうか……(涙)
(この記事は2021年7月30日に株式会社アイタイスの公式サイトに公開されたものの転載になります。)
今日はちょっとした質問からスタートです。
さて、今日はコピーに関するちょっとした小話を。
この記事のメインビジュアルとして貼ったのは、7月9日の日経に掲出されていたトヨタホームの広告です。
「家をつくる。街をつくる。暮らしをつくる。」
そんなコピーが書かれていますね。
突然ですがこのコピー、思いつくのにどれくらいの時間を要すると思いますか?
もちろんプロのコピーライターがお仕事として受けているであろうことを考えると、初校の提出まで、例えば2週間くらい?
いや、“思いつく”っていう意味で、とにかくドラフトの状態でいいので、いろいろな案をブワーッと出していくだけだとしたら、1〜2時間くらい?
僕の場合「家をつくる。街をつくる。暮らしをつくる。」を思いつくのに必要な時間は……
0秒です。
まったく時間はかかりません。
いちおう補足しておくと、決してこのコピーが、ひとつの工夫も、練られた感もないくだらないものだと言っているわけではありません。
おそらくこれを書いたコピーライターはとても優秀な方で、クライアントや代理店と何度もディスカッションを重ねて、ここにたどり着くまでには、何案も用意して、それぞれに意図を説明して……、というさまざまな工程を経て、最終的にこの状態で完成していることも分かります。
ただ、これを思いつくまでの時間は? と言われると、やはり「0秒」というのが僕の答え。
なぜならこれは手法として、もう頭の中にあるものだからです。
買ったのは、「駐禁を切られない」という安心。
ではその“手法”とはどんなものでしょう。
先に結論を言うと、「抽象度を上げる」というもの。
それによって「アプローチ」や「戦略」に寄った言葉が、簡単に「理念」や「コンセプト」へと近づきます。
それはつまりキャッチコピーやスローガンに相応しい言葉になるということとほぼ同義でしょう。
僕がこの手法にはじめて触れたのは、大学生だった20年ほど前の話。
大阪で実家暮らしをしていた当時の僕は、遊びに行くのも、バイトに行くのも、いつも車でした。
車で目的地まで移動し、お店などに入る時、できれば有料の駐車場を使わずに、「路上駐車で済ませたい」と考えるのが、お金のない学生時代あるあるです。
しかしさすがに東京と比べると都会度は劣るものの、大阪だってど田舎ではありません。
結果的に20代前半の僕は、何度も何度も駐禁を切られました。恥ずかしいやら、情けないやら……。
そんな中である日、バンド仲間だった友人が、以下のように提案してきます。
「アメヤン(←僕のあだ名)、今日はタイムズに停めよう。“安心を買う”と思ったら安いもんや。」
安心を買う。
この言い回しが妙に気持ちよく感じたことをはっきりと覚えています。
抽象度を上げるというのは、こういうことです。
ここで実際に買っているのは、タイムズが提供する「駐車」というサービスなのですが、抽象度を上げて考えれば、「安心を買っている」と言える。
特に難しい話ではないですね。
ぜんぶ0秒でいきましょう。
例えばテクノロジーを活用した新しいサービスの開発に携わっているエンジニア。
実際につくっているのは、そのサービスそのものなのですが、抽象度を上げれば……
つくっているのは、未来です。
0秒ですが、キャッチコピーっぽくなりましたね。(ここではコピーの精度は問わない)
毎日、部活で頑張る子どもにお弁当をつくり、手渡すお母さん。
実際につくっているのは、お弁当そのものなのですが、抽象度を上げれば……
届けたいのは、ガンバレです。
また0秒ですが、キャッチコピーっぽくなりました。
このように抽象度を上げれば、理念よりの言葉になるわけです。
飲食関係の人は「思い出をつくる」とか「笑顔をつくる」と言えるでしょう。
(実際につくっているのは唐揚げとかお刺身とか、つまりはお料理)
自動車や自転車をつくっている人は「移動をつくる」と言えるでしょう。
(実際につくっているのは自動車や自転車)
最初にあったように不動産や建築関係の人は、「生活をつくる」(実際は家)、エンターテイメント関係の人は「熱狂をつくる」(実際は漫画とか映画とか)、、、
めちゃめちゃ簡単ですよね。
このやり方。手法としては安直というか、手垢がついたものではありますが、本質部分へと手を伸ばす方法であることも間違いありません。
したがって、もしコピーライターに発注するだけの費用がなければ、こうやって自分の会社や提供サービスをキャッチコピーっぽい言葉にすることは誰だってできますね。
とはいえ、いちおう注意をしておくと、上記の手法をつかって抽象度を上げるだけでは100点のキャッチコピーにはなりません。
そもそも抽象度を上げれば上げるほど、他との差がなくなり、独自性が損なわれることで、どんどん凡庸なものになっていきます。
したがって、さらに質を高めたいのであれば、その時はプロのコピーライターに頼んでみましょう。
はい、今日はここまで。
はい。いつもと比べるとかなりライトですが、終わりましょう。本当はここから……
つまり実際につくっているモノっていうのは、本質的な提供価値を載せるメディアでしかない。
↓
例えばお母さんにとって「子どもへのお弁当」は、本質的な価値、つまりは「愛情」みたいなものを載せる媒体。
↓
みたいな話をしつつ……
↓
そういえば、サラダを食べる時に楽しんでいるのって、けっきょくドレッシングの味だよね。
↓
「サラダ」という言葉が指しているのは、基本的には「野菜」だけど、実は野菜はメディアでしかないのでは?
↓
よくよく考えると、「餃子」だって、楽しみたいのはタレ、ラー油、マヨネーズ……の味であって、餃子そのものはメディアなのでは?
みたいな壮大なお話をする予定だったんですが、41歳のおっちゃんにはもう体力がありません。寝させてください。
あ、あと、メルマガから飛んできた方は読んだかもしれませんが、実は“実績泥棒”の被害を受けています。
メルマガでは具体的な言及は避けましたが、これです。
https://coconala.com/users/2550033
弊社の事例である追手門学院中・高等学校の『O-DRIVE』というメディアを、まったく関係していないよくわからない人が、自分の実績として紹介しているんです。
しかも、自分のポートフォリオサイトだけではなくて、フリーのクリエイターと案件をマッチングさせるサービスサイトにも『O-DRIVE』を自分の実績として掲載しているんです。
こんなのって、ちょっと悪質すぎませんか?
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おーい、野田茂徳さーん(もう名前も言っちゃおう・笑)。
今なら許すので、名乗り出てきてくださーい!
そして、雨森武志さーん、お願いだから、もっと余裕をもってこの月イチコラムを書いてくださーい!(爆)