揉みほぐしは医業類似行為?


■関連法令(2)

◆医業類似行為とは

前項の業務独占資格の設問は実際に出題されたので、もう少し突っ込んで勉強します。


業務独占資格の説明で正しいものはどれか

 1. 資格をもっている人だけが、独占的にその仕事を行うことができる国家資格
 2. 資格を持っていなくても、独占的にその仕事を行うことができる国家資格
 3. 資格をもっている人だけが、優先的にその仕事を行うことができる民間資格
 4. 資格を持っていなくても、優先的にその仕事を行うことができる民間資格


前項の復習です。
正解は1。もう大丈夫ですね。

この設問は単に資格の種類を聞いているのではなく、「医業類似行為」という用語と深く関連しています。

リラクゼーションセラピストの仕事は医業類似行為にあたります。

医業類似行為とは、Wikipediaによると

あん摩マッサージ指圧・はり・きゅう・柔道整復の行為4種と、カイロプラクティックや整体のような、法定の行為以外の民間療法を含む概念。

とされています。

見た目は同じような施術を行っていても、あん摩マッサージ指圧・はり・きゅう・柔道整復には法的な資格の裏付けがあり、カイロプラクティックや整体にはそれがありません。
つまり、資格を持っていない人が「業務独占資格」で規定されている業務を行うと法律違反になる、ということです。
ここまではいいですよね。

しかし、はり・きゅうはともかく、徒手による施術は見た目では区別がつきません。

そこで、あん摩マッサージ指圧、はり、きゅう及び柔道整復以外の医業類似行為については、過去の最高裁判例から以下のように理解されています。

免許を必要としない医業類似行為は、その施術が医学的観点から少しでも人体に危害を及ぼすおそれがあれば、禁止処罰の対象となる

逆にいえば、人の健康に危害を及ぼす恐れのない施術なら違法ではない、ということになります。
ただし、人の健康に危害を及ぼす、という言葉の範囲は結構広くて、骨折や脱臼、打撲、神経損傷などはもちろんですが、たとえば、リンパマッサージで内出血した、とか、強く揉み過ぎて筋肉を傷めた(筋断裂)とか、爪が伸びていて皮膚に引っ搔き傷ができた、などという、わりとありがちなケースも「危害」に含まれるので、十分に注意しないといけません。

詳細については、法律の解釈なのでちょっと煩雑ですが、Wikipediaの「医業類似行為」を読んでみて下さい。勉強になります。

◆あはき法


あはき法にあてはまらない資格はどれか

 1. はり師
 2. きゅう師
 3. 柔道整復師
 4. あん摩マッサージ指圧師


あはき法とはもちろん略称で、正式には「あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律」です。

柔道整復師は、「柔道整復師法」(略称は柔整法)で定められた資格です。
もともとは「あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師、柔道整復師等に関する法律」として一緒に取り扱われていたのが、昭和45年に柔道整復師法が制定されて、柔道整復師だけ単独の法律になったそうです。

この問題は実際に出題されました。
しかしまあ、セラピストにとってはどうでもいいことです。
それよりも、それぞれの資格の名のもとに行われている施術や治療の内容について、テキスト内でもっと詳しく説明してくれたほうがよかったと思います。

医業類似行為に関する話題はかなり奥が深いので、今後も機会があれば取り上げたいと思います。

■参考資料

  1. 新版 からだの地図帳

  2. ぜんぶわかる骨の名前としくみ事典

  3. ぜんぶわかる筋肉の名前としくみ事典

  4. MSDマニュアル

  5. リラクゼーション業の適正化に関する自主基準

  6. 医業類似行為,Wikipedia,2018

  7. あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律,Wikipedia

  8. 柔道整復師法,Wikipedia

[作成 2019.12.27]
[修正 2023.09.13]

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