言葉にするのをあきらめたひとたちへ【1】

伝えるって難しい。
自分の思いを伝えるってすごく難しい。

信頼を構築している最中の相手(絶対に嫌われたくない、傷つけたくない、誤解されたくない人)には特に尻込みしてしまう。

どれだけの人生を歩めば、それが難なくできるようになるんだろう。
伝えられない思いを吞み込んで、自分の中にしまいこんで。

なかったことにはしないよ。
確かに私の中に存在するこの思いを、時々引き出しては吐きそうになる。
ぐるぐる回って焦点が合わなくてなって恐怖を感じて、吐かずに吞み込み直す。そういうものがどんどん溜まっていくと、苦しくて苦しくて仕方がない。

ささやかな要求や意思は、吞み込んだ場合それが沢山の荷物となって身動きが取りにくくなるし、
大きく膨れ上がった思いは、産み落とすまでに至らない。
思いを言葉に変換生成するのを諦めてしまう。
「無理だ、こんな大きくて複雑なもの」と。
私の何がそうさせているんだろう。

伝わらなかった、伝えきれなかった時の後悔や羞恥が怖いチキン野郎なんだと自覚があるけれど、もしかしたらこれが人間の標準仕様で、伝えるにはグレードアップが必要なのか?と思うこともある。
正しい努力をして伝える勇気や勢い、言葉の生成方法を育んでいくもの。
もしそうであるなら、育む方法って?

言葉にするのをあきらめたひとたち。
それは伝えることを幾度となく諦めてきた私。伝えようともしなかった弱くてダサい私。伝えてみたけれど思いのまま受け止めてもらえず、それが失敗だと思い込み、自責の念に駆られていた私。どうやって伝えたらいいかわからなくて、もがき苦しみ泣いてばかりだった私。
総じて過去の未熟で繊細な私たち。
事実と感情を切り離せなかった哀れでイタい私たち。

今は繊細だなんて(いろいろなものが邪魔をして)図々しく感じて言えないけれど、言葉にするのをあきらめたひとたちへ、理解者として声をかけて寄り添いたい。
「今も伝えることに苦労をしているよ」って。

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