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仲良し≠信頼関係

この間、久しぶりに母の作るご飯が食べたくて、仕事の後に実家へ帰った。
早寝早起きの父が眠ってから、あたたかいお茶を飲みながら母と女同士の時間。昔からこういう時間がたまにある。
ちなみに母の実家に帰って親戚が集まると、男性陣が眠ってから叔母たちも含めて3~4人で喋って夜更かしするのも恒例になっている。

お互いの体調のこと、仕事のこと、いろいろ話すうちに何となく人付き合いについて話したくなって、最近こういうことがあってさ~と切り出してみた。

私は人と向き合うのが苦手。
口下手だし、変に勘ぐってしまうし、いらぬ遠慮をして言葉に詰まったりするからすぐに伝えるという行為を諦めてしまう。すぐ諦めるくせにキャパが小さいので吐き出せず飲み込んだものが膿になってバーンと破裂しがち。
最近やっとバーンしないように消化したり濃度を薄める方法がわかってきたけれど、結局自分の思いを伝えられていないんだから、それがいつどんな相手にでもできるようにならないと一生視界は晴れないこともわかっている。

こんな感じの私なので、人から強い主張を受けたり、自分を否定されたりすると、すぐにしおしおしぼんでいって、それ以上しぼまないようにATフィールドを作ってしまう。
でも、私のように常に守りに入るのではなく好戦的な人が一定数いる。好戦的っていうと喧嘩っ早いみたいでちょっと違うかもしれないけど…
主張されたら主張し返せる、己の正義においてそれは間違っている!と他人に盾突ける人がいるってことね。

「私はこう思います」と言えるのは最も素晴らしい状態だし、私もそうなりたい。けれど、行き過ぎた正義は無自覚に人を傷つけたり、人を寄せ付けない空気を醸す。でも逆にそれに救われたり、同じような正義感で加勢する人もいる。

昨年は、自分の正義を塗り替えられてしまいそうなくらい強く主張されることがしばしばあって、人との距離感に悩んでいたから、その出来事をいくつか母に話して「お母さんはどう思う?どうしてた?」って聞いてみた。

私の母は社会貢献をめちゃくちゃしていて、本人は苦労と思ってなさそうだけど、苦労を重ねてきた偉大なひとです。今度母についても詳しく書いてみたいな。
そんな母からの助言は、私の中にすーっと入ってすぐに胎落ちし、やっぱり親子だなぁとほっこりあたたかい気持ちになったので、前説超長くなったけどそのまま記しておきます。


お母さんは結構、「そういう人ね」って割り切って付き合うわね。わざわざ「あなた間違ってるわよ」とか意見したり、反発心を持つことはないわ。若い頃はね、あったかもしれないけど。

人付き合いって難しいし変わっていくものだからね。
仲が良い相手でも、必ずしもその人を信頼できるわけじゃないもの。
その逆も然り。一緒にいると疲れたり居心地が悪い人でも、絶対に嘘をつかないとか、約束を破らないとか、他人を馬鹿にしないとか。仲良くはないけど一目置いている、みたいな人だっているからね。

近所の○○さんって仲良くさせてもらってるけど、あんまり信頼してないの。他人様から「あなたには話すけど…」って聞かされた話を胸の内にとどめておけない人でね。平気でぺちゃくちゃ他所に漏らして、一頻り喋った後に「内緒にしておいてね」って言うのよ。一度や二度なら抱えきれなかったのかしら?と思えるけど、これまでに何度もそういうことがあったから、○○さんには安易に深刻な話をしてはいけないなって思うようになったわ。○○さんに悪気はないし、普通のお喋りする分には楽しいし、挨拶とか恩とかちゃんとしてる人だから仲良くしているけどね。信頼はできないわよね。

信頼や正義の線引きって人によって違うし、お母さんみたいに割り切って仲良くしてられる人もいれば、信頼できない人とは仲良くできない人もいるわ。社会に出て年齢を重ねるにつれてその考え方も変わってくるから、人付き合いって変わっていくものよね。

もちろんずーっと仲良しで信頼もセットになっている人もいるけれど、本当に稀有な存在よね。そういう人は大切にしたいわね。そういう人がいれば、友だちは多くても少なくてもいいと思うの。


この後に同級生が近々結婚するとか子どもを産むとかそんな話をして、「私はひとりもんだけど寂しくないし強がってもいないよ」と伝えた。
昔はね、早くに結婚して子どもを何人も育てている同級生のことを「偉いわね」なんて褒めて、私の心を無自覚に傷つけてきた母だったけど、親子ともども年を重ねて、私も社会に出て長いから、「ひとりぼっちじゃなきゃいいのよ。心細い時とか、一人では抱えきれない時に一緒にいてくれる人がひとりでもいればいいんだから」と言ってくれた。
私もそう思っているし、それは必ずしも恋人やパートナーと言える相手ではなく、友人やその時その時に身近にいる親しい仲の人でもいい。

きれいごとに聞こえるのかな。
もっと現実を知れ!とか言われちゃうかな。

もしそんなことがあっても、私は母の言葉と自分の正義を胸に、戦わず反発せず、凪を探して時の流れに身を任せて生きたいと思う。
仲の良い友人や、信頼できる人とともに。

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