朽ち、果てる、美しさ。
太陽、風、雨。
光や水、それらが混ざり、合わさる。
天気、天候と名を変えて空から落ちる。
その全てが立ち尽くし、役目を終えた物の存在や価値、尊厳を時間という流れに沿って奪い去る。
遺されたのは何か。
いくつかの残骸、破片、記憶。
しかし、それらでさえも、連綿、脈々と流れ続ける川の水の一滴になる。
水は流れ、小川は大河になり、やがては忘却の大海へと注ぎ込んでゆく。
この何かの建築物だったであろうものも、今では植物達の住処になり、彼らを生かすために、また自らも流れに沿い、抗うように生きている。
時は残酷ではあるが、崩れ、朽ちる物にも美しさがある。
終わりへと向かう/終わっていく/終わってしまった。
一連の流れの中にも美しさはあり、細部にこそ、美しさを見出すことが出来る。
荒涼とした曇天の下に、終わりゆく建造物。
終わりながらも自らの形を残そうと、抗う。
私も終わりを迎えるときに、どんな形を残して去るのだろうか。
形無く、流れに身を委ねるのも、それもまた私の形なのだろう。