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ずっと溶けない“あめ”がほしい
目が覚めて、死にたい、と思う。
けれど、思うだけ。
ずっと行動には移せずにいる。
結局私はただの死にたがりで、自ら命を絶つような勇気はない。
そもそも私がこう思うことにたいして、なにか決定打があったわけではない。
人間関係でのいざこざや、自分の能力や努力不足による失敗は何度も経験してはいるものの、特段大きな不幸はなかった。
とても恵まれているとは思う。
ただ、なにをしてもつまらないし、未来への不安と恐怖で体が重い。
甘い幸せを感じることはもちろんある。
けれど飴のように、しばらくすると溶けてなくなってしまう。
特別不幸なわけではない。
家族仲が悪いわけでも、仲の良い友人がいないわけでもない。
それでもこんなにも不幸ぶっている私は、贅沢だと思う。
だけど、どうしても辛くて苦しい。
毎日が重い。朝が来るのが怖い。
生きたくない。誰の枷にもなりたくない。
言い様もない孤独感が押し寄せてくる。
寂しい。誰かがいて欲しい。
でも、ひとりにして欲しい。
私の脳内でめまぐるしく回り続ける感情の波に飲まれてしまう。
だからずっと、いつか「死にたい」が「生きたい」に変わるような、そんな稲妻のような日が訪れてはくれないかと願っている。
永遠なんてものはない。
絶対なんてものもない。
何も変わらないなんてことはない。
一生口に残り続ける甘い飴なんてものは存在しない。
それはきっとなんの味もしない硝子玉。
味わえば味わうほど、どんどん薄れて溶けていく。
でも、だからこそきっと飴はあまいのに。
それを知ってるけれど、それでも私は、永遠に口に残るような、甘い飴が欲しい。