息子と東京ふたり旅2「東京国立博物館」
■上野公園も公園
息子(5)と旧友(32)で上野公園を歩く。
息子は何に影響を受けたのか分からないが
「いやあ~、日本とは全然違いますね~」と連呼している。
いや、ここも日本ですけど。長野県より日本ですけど。
上野公園からは東京スカイツリーが見える。僕が大学生のときにはまだ建設途中だったので、なかなかに感慨深いものがある。あまりに大きい。しかし、息子はスカイツリーを見ながら「いやあ~、やっぱり日本とは全然違いますね~」と言っている。いや、だいぶ日本ですけど。the日本ですけど。
どうやら彼にとっては、「いつも住んでいるところ」イコール「日本」なのだ。
「ここが上野公園だよ。」と言うと「え?上野公園?行きたーい!」と言っている。「いや、ここが上野公園だよ」
すべり台もブランコも見当たらないので、どうもここが公園だとは思えないらしい。「これが本当の公園なんだよ」と僕も相変わらずテキトーに返答している。息子の見解だと代々木公園も井の頭公園も公園ではないことになってしまう。きっと住んでいる環境で言葉の定義ってかわるんだろうな、と思った。
■東京国立博物館
僕たちの旅のメインは「東京国立博物館」
息子はEテレの番組、びじゅチューン!にハマっている。日本や西洋の美術作品を扱っている番組である。
ここ東京国立博物館には、その番組で紹介されている作品がかなりたくさん所蔵されているのだ。(「見返り美人図」「麗子微笑」「三日月宗近」「納涼図屏風」「摩耶夫人及び天人像」などなど…)彼にとっては聖地巡礼である。僕も楽しみである。
いざ入場。半沢直樹でみたようなリッチな階段に出迎えられる。
なかなかに広い館内をぐるりとまわり、いろいろな作品に出会う。
しかし、誤算があった…。
どうも上にあげたような作品が見つけられないのである。
これは完全に僕の勉強不足なのであるが、所蔵されているからといって、いつでも展示されているわけではないのである。修復・保全あるいは貸出等の理由で、展示されている期間はほんの一時期なのである。
そうなのか…僕は正直ほかの素晴らしい作品が見れたので、満足であるが、息子はがっかりなのではないだろうか?と思ったが、実際には全然がっかりしていなかった。
なぜなら「トーハクキッズデー」が開催されていたのである。偶然。
■美術と友達になる
トーハクキッズデーでは、こどもたちのためのプログラムがたくさん用意されていて、5歳の息子も楽しむことができた。
体の動きに合わせて、遮光器土偶や洛中洛外図屏風を動かすことができたり、自分で東洲斎写楽の浮世絵作りを体験できたり、それはそれで、聖地巡礼を楽しむことができたのである。
東京国立博物館さんも息子のツボをおさえていて、さすがだと思った。
法隆寺宝物館にある「摩耶夫人及び天人像」については、1年中見れるとのことだったので、見に行こうか、と提案したところ、「いや看板と写真とるから大丈夫」と即答。
本物に触れさせたい、という願いは僕の思惑で、本人は、美術作品と楽しみたい!という感情のほうが大きかったのかもしれない。
ある意味では、息子のほうが「美術と友達になっている」のかもしれない。