飴村玉井
連載中の怪異ホラー兄弟BL各話一覧 【追記】応募中のコンテスト規定により、4話以降を創作大賞参加取消しています
あらすじ 美貌以外に取り柄のない青年、竜胆は困っていた。しばらく前から自宅に起きる怪奇現象によって眠りを邪魔され、挙句の果てに洗面台を髪の毛まみれにされるという邪智暴虐に怒り狂い、彼はついに非科学的な手段に訴える。そして腐れ縁の紹介で知り合ったのは年齢不詳の胡散臭い霊媒師、紫苑だった──。 因習村育ち、化け物は大体友達な陰キャ美青年×怪しすぎて逆に怪しくない、でもちょっと怪しい術師のバディによる明るい軽やかホラーコメディー、ここにスタート! 本文 二週間前から家に、なにか、
玄関に生首が置かれていた。 なかなかよくできているマネキンの頭部だな、としげしげ見つめてしばらくしてからそれが本物と遅れて気づく。胴体から切り離されて時間が経っているのか、本来は澄んでいるはずの白目は濁って半透明になっていて、肌からも色艶は既に失われている。つるんときれいに頭髪が剃られていて、産毛も眉毛も睫毛も丁寧に処理され、生え痕もほとんど残っていない。これほど完璧に欺瞞されているのだからマネキンと間違えるのも仕方ないだろうな、と自分を納得させつつ、抱き抱えて自宅に持ち
あくる日、俺は同級生のお兄さんというほぼ他人と言って差し支えない相手と共に、以前彼の弟である針間勇次郎と訪れたことのある廃ビルへ来ていた。だだっ広い、一面の更地の真ん中にぽつんと建つ洒落たデザインのビルディングは何度見ても異様だ。現在時刻が昼日中なのが唯一の安心材料かもしれない。前みたいに草木も眠る丑三つ時に連れてこられていたら泣いて嫌がった自信がある。その同行者、針間纏はやはり平然としていた。さして美味くもなさそうに煙草を咥えていて、眉間に皺を寄せたしかめっ面をさらしてい
あらすじ やんごとなき事情から、とある「アルバイト」をクビになってしまった少年、七種翠はある日、同級生の針間勇次郎から頼まれ事を持ちかけられる。それは、翠のアルバイトに携わってもいた謎の人物「センパイ」を捜すのに協力してほしい、というものだった。報酬目当てに二つ返事で引き受けた彼だったが、予想もしない恐ろしい出来事へと次第に巻き込まれていく。 本文 夏休みというのは貧乏人にとって唯一といっていい稼ぎ時だ。学校がないというだけで使える時間が大幅に増えるんだから、その間をバイ
きっかけは多分、一年生最初の行事である林間学校で行われたレクリエーションの肝試しだったように思う。わたしの通う私立城北高校は各地から成績優秀な子供が集まってくる進学校で、その分授業の進みも早いし扱う内容も難しいけれど、勉学と同じくらい行事にも力を入れていた。 だから毎月のように学校独自のイベントがあるのだけど、入学してきたばかりの一年生が真っ先に経験する行事というのが野外活動だ。東京から離れた山奥へ泊まりがけでキャンプとか自炊体験とかするやつ。 ゴールデンウィークからち
都立方南高校。首都圏でも下から数えた方が早いであろう偏差値の低い、俗にいう「教育困難校」の一つである。各地から様々な事情を抱えた子供達が通っているが、幼なじみは学力的には何も問題がなかったというのに受験期の土壇場になって志望校をいくつもランクダウンさせ、ここへ入学してしまった。 当てつけのような進路変更にマジギレした彼の母、結が勘当同然で実家から追い出し、学校近くの単身者向けアパートへぶち込んでからそろそろ数ヶ月。もうじき夏休みだし、ちゃんと一人暮らしできているのか不安に
あらすじ古い霊能者の家系である針間一族でも指折りの術師である兄、纏は年の離れた弟・勇次郎が自分と反目した挙句に同じ術師になると言ってきかないことに悩んでいた。そんなある日、彼の元に一通の便りが届く。それは、過疎に悩む集落にて暮らす女性が、職場で起こる怪奇現象について悩んでいるというもので……。 本文「だから私は嫌いなんだよ、『鰯の頭も信心から』とか、『信じる者は救われる』みたいなおためごかしがさあ。ふざけんなよ、神さん仏さんがガチで救ってくれるっつーなら、私らみたいな稼業の