【三題噺】「夏至」「スニーカー」「高校生」

 六月下旬、夏至を過ぎた土曜日のこと。どうも今日は雨降りで蒸し暑く、外出が億劫であるが、生憎今日は体育祭。しょうがないけどシャワーを浴びて、朝ご飯を食べる。母親が高校生最後の体育祭だから験担ぎにと、朝からカツカレーを作る、朝から重たいけど本当に美味しい。じめじめとしていて憂鬱だがのんびりはしていられない。スポーツセンターまでバスで行く必要があるので間に合わせる必要がある。
 シューズやタオル、着替え一式と塩飴を五ついれた大きな水筒をリュックサックに入れて、スニーカーを履いて大声行ってきますをして家を飛び出る。丁度雨は止んでいて、急いで走る。大きな水溜まりがあるのに気付かなくて、思い切り踏んで足がぐしょぐしょになる。信号までなんとか走ると後ろからバスが来ているのがわかった。友達や他の人も同じバスに乗るから間に合いはするが、汗と湿度で暑苦しいまま乗車は正直辛い。
 親に車でバス停まで送ってもらった友達が、丁度水溜まりを踏んであわあわしている所を見ていたようで、大丈夫かと笑ってくる。幸い替えの靴下はあるので、試合中まで濡れっぱなしのままやる、なんて事にはならずに済みそうだ。
 バスを降りると雨がまた降っていたので折り畳み傘を差す。青が濃くなったスニーカーはずっとじめじめしていて、ちょっと重たい。
 会場に着くと、既に何十人か来ていた。まだ時間はあるので、とりあえず上着を脱いで、靴下を替える。靴下は帰りまでに乾きそうには無いが、臭い物をリュックサックの中に放置するのはまずい。トイレの蛇口で靴下を絞ると指の隙間から雨水が少し滴り、土の臭いが出る。開会式五分前の合図がかかり、急いで片付け、体育館へ向かう。
 校長先生と体育教師の話が終わり、十分後から第一試合が始まる。僕はバレーの第一試合からあるので、準備してコートへ向かう。
 靴紐をしっかりと縛り直して、試合開始の合図。ボールを放り、飛んで打つ。

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