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飛べない蝶に さよならを云う



蝶々を 飼っていました
その蝶々は 羽が半分ありませんでした


或る日
自宅のちいさな虫かごに、アオムシが入っていました
か細い 二匹の ニョロニョロは
葉っぱも土も何もない、プラスチックの板の上
音も気配も消すように、ただただそこに 這っていました


「うわー なんかこれ ふてぶてしいなぁー」

元々、虫を飼うということが 苦手なわたし
まだ小さな末娘が 「父さんにつぶされちゃうからかわいそう」と
畑から救ってきたのでなかったなら
きっと反対したであろう、そのアオムシたちの駐在に
いつの間にやら すっかり慣れていました

昨日は夫で、今日は次女、と
変わるがわる すだちの葉っぱを入れてやる日々
アオムシなんて ムシャムシャ食べるのが 仕事ですから
あっという間に 大きくなっていきます

サナギになったのは まず一匹
こんなに差がつくの?と 驚くほどのでっぷり加減
やはり 先に大きくなった子からでした

梅雨の最中、曇天の朝
「なんか、色がちがってる!」
子どもたちが気づきます
虫かごの 青いあみあみのフタの裏
明らかに 昨日までのそれとは違う色に変わっていました

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