夕にひかり −yubeni-hikari−
私は物心ついた頃から実家を出るまで、音に気遣いながら生活していました。
父が、音楽を志していたのです。
ギターの弦をつまびきながら詞曲を創作する日々が日常であったうえに、さらに自身の真理を追求するためのヨガや瞑想をしていたので、日に数回ヴェートーヴェンの交響曲を流す時間帯がありました。
そんな父を優先するためにもテレビ鑑賞には常にイヤホン,電話は留守電設定にと、家族は極力音を立てずに生活するようになっていきました。
そしていつしか、静かに過ごすことが苦にならない“ワタシ”が