2021年スーパーボウルCM、本当の勝者は?
初めまして、アメマ速報のアビーです。
毎年米国のアメリカンフットボールの大会で広告業界にとっても注目のイベント第55回スーパーボウル(スーパーボウルLV)が先週日曜日に開催されました。今年のスーパーボウルはたった9,640万人が視聴と、2007年以来の最低視聴者数となったのですが、なんとオンラインライブストリームでスーパーボウルを視聴した人は昨年に比べると65%増の約570万人という記録的な数字に。
コロナウイルスの影響で、CBSは広告枠を売るのに昨年より2ヶ月以上もの時間を費やしましたが、今年の67個のスーパーボウルの広告枠をすべて売り切ることに成功。iSpot.tvのデータによるとスーパーボウルLV中に放映された56の広告主による67個のスポットは、テレビ広告で63億インプレッション、オンラインビューで2600万視聴数、ソーシャルメディアで640億インプレッションを与えたそうです。
今年の広告主にとっての最大の問題は、昨年起こった、コロナウイルスを含む様々な出来事について触れるかどうかという点。ほとんどは昨年の出来事に触れないことを選択し、毎年放映されているような、ユーモアあふれる広告が流れましたが、様々な苦難を乗り越えたばかりの人々、または困難な状況でまだ苦しんでいる人々にとって、これらのユーモアは違和感を与えたかもしれません。しかし、そんな中でも、ユーモアを使って2020年、そして2021年のこれからをうまく表現した広告は、大きく話題に!そんな、ユーモアのセンス溢れるスーパーボウルのCMの中でも、特にアメリカ中のSNSでバズったCM TOP3をご紹介します。
第3位: アマゾンのAIデバイスアレクサの新しいボディがまさか。。。
今年のAdMeterで3番目に人気だったCMはAmazonの『Alexa’s New Body』。この広告には映画、『ブラックパンサー』に出てくる主人公の敵、キルモンガーを演じる俳優であり、今年のPeople Magazineの「最もセクシーな男性」に選ばれたマイケル・ビー・ジョーダン(Michael B. Jordan)が出演。なんと彼がAmazonエンジニアの女性の想像の世界でAmazonのAIデバイス、Alexaの新しい「ボディ」になるというもの。
Amazonエンジニアの女性の前でマイケル・ビー・ジョーダンが庭のスプリンクラーを浴びたり、お風呂に入ったり、女友達の前で服を脱いだりしながらAlexaの機能を紹介していく(もちろんアマゾンエンジニア女性の夫はカンカン)という内容。Marketing Diveによると、Virginia Commonwealth大学の広告修士課程、VCU BrandcenterのエグゼクティブのVann Graves氏はAmazonの広告について「Amazon Alexaのスポットは有名なセレブを起用し、上手く設計された、正統派感のあるスーパーボウルのコマーシャル。それだけではなく、ダイバーシティーを表現し、視聴者の人種や性別にかかわらず、誰にでも響くAlexaの新しいボディの謎にフォーカスにしたからこそ面白かった。」と分析。
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第1&2位: 2020の「不安」を「笑い」に変えるRocket Mortgage
一つ目は、住宅ローンサイトRocket Mortgageの『Certain is Better』。1996年アメリカのお笑い番組SNLでデビューした、アメリカ中で知られているお笑い芸人トレイシー・モーガン(Tracy Morgan)が主演する60秒の二つのバージョンの広告は、「曖昧なこと」と「確実なこと」の違いを漫画のようにコミカルに表現。昨年の不確実性を体現する一種のユーモアを使用したRocket Mortgageのこの広告はスーパーボウルを視聴した何万人もの人が最も好きなスーパーボウル広告を投票するアプリUSA TodayのAd Meterで一位と二位を獲得!
番外篇: ことわざが現実に?言葉を巧みに使ったBudLight
TOP3には入りませんでしたが、アメリカの人気ビールブランドBudLightも、新商品Seltzer LemonadeのプロモーションのCM『Last Year’s Lemons』で同様のアプローチを行い、大きな注目を集めたので番外編としてご紹介です。英語のことわざ「When life gives you lemons, make lemonade」(「辛いことがあってもくじけず、それをよいものに変えよう」)を文字通りに表現、レモンが雨のように空から降るという笑える世界を作り、2020年の大変さを伝えています。
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これら3ブランドのCMはUSA TodayのAdMeterランキングの上位を占めることに成功しましたが、実はAdMeterでさえも、たった一つ見落としたCMがあったのです。AdMeterの投票システムはスーパーボウルが流れている間だけ投票可能という仕組みなのですが、もし放送中によく読み取れなかった為に人気投票で上位に入らなかった5秒間だけのCMがあったとしたら…?スーパーボウル放送後、つまりAdMeterの人気CM投票期間が終わったあと、その5秒間のCMの評価はどうなるのでしょうか。スーパーボウル放送終了後から大きくバズった話題のCMをご紹介します。
番外篇: スーパーボウル初の5秒広告でRedditが大バズり
フォーラムサイトRedditは典型的な30秒CMではなく、たったの二日間で制作した、たった5秒CMを放送。 Redditの広告チームはスーパーボウルの4日前にブレインストーミングし、次の日にはコマーシャルの制作を終えたのですが、5秒だけの広告で一体なにを伝えられるというのか・・この難関をクリアしたのがRedditです。
車のCMなどでよく見る、自然の中を車が走っていく様子が画面に映り、突然、スクリーンがバグって、ミステリアスな赤いエイリアンのアイコンが登場。その後、3秒だけ長い文章が画面に。文章が見えたと思ったらすぐに、消えてしまうというもの。
たった3秒間しか現れない文章をしっかり読むためにスーパーボウルの視聴者がオンラインストリーミングを一時停止して携帯で写真を撮りたい!と思わせるような「人間の好奇心」をくすぐるCMです。
文章の内容は、Redditのユーザによって引き起こされた最近話題沸騰中のアメリカ金融業界を脅かした事件について。「Powerful things happen when people rally around something they really care about」(「人々が、本当に大事だと思うことに対して集うことで、絶大なパワーを生み、大きなことを成し遂げることができる」)と最後を締めくくっています。
「一般人が株式市場に影響を与えることができたように、生産価格の最も低いこの小さな広告でもスーパーボウルに大きな影響を与えることができた」という心に響くパワフルなメッセージ。
今年のスーパーボウルのCMで最も革新的だったのは、有名人や多額の投資金額がなくても、斬新なアイディアとクリエイティビティさえあれば、たった5秒の低予算のCMでさえも大きな影響力とエンゲージメントを生むことができるということ。
スーパーボウルという、CMへの巨額の投資が必要な場という固定概念がある場を逆手にとることで、「スーパーボウルの伝統」を覆すことができたのでしょう。イノベーションと革新性を持ったこのRedditのCMがスーパーボウルの真の勝者と言えそうです。
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みなさんも是非CM制作の際の参考にしてみてはどうでしょうか。
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