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常識をブチ壊す、パンクでロックな商品戦略
こんにちは、アメマ速報の齊藤です。
突然ですが、今北米で話題の、この飲み物ってなんだと思いますか?
「ビール?」
いいえ。
「エナジー・ドリンク?」
いえ。
「炭酸?」
いや、普通の水です。
お分かりいただけたでしょうか?
これが今アメリカのメタルファンを中心に話題になっている理由です。
▼リキッド・デス(死の水)とは
これは、今年2019年に発売されたアルミ缶入りのミネラルウォーター、その名もLiquid Death(リキッド・デス)。”死の水”!!
メタルやロックファンがそのカッコ良さを無くさずに、ビールやエナジードリンクの代わりに水分補給をできるようにと開発された商品で既に約2億円の投資金獲得に成功しています。
なぜ死の水か ー ”喉の渇きを抹殺する”がコンセプトだから、死の水です。
喉の渇きを潤すのではなく、喉の渇きを抹殺する。
…良いんだか悪いんだか、めちゃめちゃな気がしますけどメタル・パンク・ロックファンにとっては腑に落ちる(?)ブランドコンセプトですね。
このLiquid Deathの創設者でありCEOであるマイク・セサリオ、実は前職はNetflixでStranger thingsやNarcos等の数々の大人気コンテンツのバスプロモーションを担当したクリエイティブディレクターなんです。
▼優等生なやり方に、一石を投じるROCKな戦略
なぜマイクがLiquid Deathをはじめたのか。
それはエンタテインメント業界にいたマイクならではの、単純な理由から。
「なんで消費財ブランドはみんな、つまんない概念に捕らわれて、つまんないプロモーションずっとやり続けてんの?」
という疑問。
消費材ブランドが散々やってきた、“オーガニック食品スーパーでお買い物する、ヨガが趣味の主婦”をターゲットにしたマーケティングに一石を投じたわけです。
Liquid Deathが、今年のスーパーボウルで流した衝撃のCMがこちら。
でも、なんでマイクは敢えてターゲットを、メタル・パンク・ロックファンをしたんでしょう?
それもまた単純明快。
メタル・パンク・ロックファンはユーモアセンスやジョークをすぐ理解し面白がってくれる上に、今まで見たことのないものに対して喜んで受け入れてくれるから。(みんなに好かれようとすると失敗するよと、既存のマーケティング手法を皮肉っているよう・・!)
▼今ウケている理由
このリキッド・デスがウケている背景には、大きく理由が2つあります。
1つは、Soberブーム。
いわゆる、アルコールを飲まず、シラフでその場を楽しむというスタイルが北米でミレニアルズを中心に流行中。理由は様々ですが、健康意識の高まりやアルコールによるトラブルを避けたい人、中には酔っ払うとInstagramの写真が盛れない(!)といった理由まで。でも楽しい時間は過ごしたいから、アルコール抜きでその場に集まるんです。LAやNYでは、デーティングアプリでもSober(シラフ)が条件のイベントがあったり、アルコールが入っていないカクテル、Mocktailを提供するSober Barまで増えています!
2つめは、エコブーム。
全世界的にエコへの意識は重視されていて、プラスチックやペットボトルはエコを語る上で問題になりがち。ボトルウォーターの大手各社が、「リサイクルボトルだから安心」「自然に土に還る素材のボトル」と謳っている中、この市場の反逆者は、ペットボトルは正直リサイクルコストがかかって結局ほとんどリサイクルされないから缶の方がよっぽどエコだよ、という言い分。しかも、1缶売れるたびに5セントが海の環境清掃団体に寄付されるという仕組み。(ペットボトルの水ブランドは、うわべの環境保護と言わんばかりの言い分、、ぐうの音も出ません・・。)
大手飲料ブランドである、Pepsi-CoのAquafinaでも北米を対象にアルミ缶でのミネラルウォーター販売を決めましたが、果たしてこのLiquid Deathと大手ブランドとの戦いはどうなるのでしょうか・・。
エンタテインメント業界のマイクが仕掛けたこの普通の水。
今企業に必要なのは、
「商品を売るための戦略的マーケティング」ではなく、
「商品で楽しませるための戦略的エンタテインメント」なのかもしれません。
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