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映画のすゝめ:『ACID/アシッド』(2024)100分※全文無料
はじめに
やっと秋の気配を少し感じられる季節になってきました。
今年の夏も暑かったですね。
夏の間暑すぎて、たまにある雨の日の気温が恋しくなったりしておりました。
先日、現在公開中『ACID/アシッド』を劇場にて鑑賞してまいりました。
映画の内容も然ることながら、ギヨーム・カネ主演ということもあり、公開前からとても楽しみにしていた作品です。
やっと観に行くことができましたので、今日はこの作品をご紹介させていただきたいと思います。
空から降ってくる雨により、全てが溶ける恐怖を皆様もぜひ劇場でご体験ください。
![](https://assets.st-note.com/img/1726014304-86fJ39iLltNduDVGvEphSmnb.jpg?width=1200)
ちなみにこちら日本版のポスターなのですが、私は本国ポスター↓よりも日本版のポスターが好きです。
じゅわっと溶ける恐怖が表現されている、素敵なポスターですよね。
直接的なビジュアルではなく、映画の内容を知って初めて理解できる仕様になっているのがとても良いですよね。
![](https://assets.st-note.com/img/1726014815-O6pYdwXEJuxQeSDZPz0BWHlC.jpg?width=1200)
他にもじゅわわと色んな物が溶かされていくポスターをX(旧Twitter)にて公式アカウントが公開しています。
🧸👟🚲🧺🚙🚥
— 映画『ACIDE/アシッド』絶望公開中☔️ (@acide_movie) September 1, 2024
最近、溶けてる?
ACIDE/#アシッド
絶望公開中☁️ pic.twitter.com/y1T4WWWY18
ぬいぐるみは個人的に特に気味悪さが感じられて好きです。
皆さんはどのポスターがお好きでしょうか?
いろんなバリエーションのポスターも、映画を観る際の楽しみの一つですね。
それではまずは予告編から。
あらすじ
環境問題が世界中で問題視される中、世界各地で高濃度の酸性雨が振り始める。
森も街も全てが溶かされ、行き場を失った難民が増え続けたが、とうとうフランスでも酸性雨が観測され始めた。
人々がパニックに陥る中、主人公は別れた妻と共に一人娘のセルマを学校まで迎えに行くことに。
しかし乗馬の実習に出かけたという娘は見つからない。
黒い雨雲は刻一刻と近づいてくる。
果たして主人公一家は酸性雨から逃げ、生き残ることができるのか。
決死の逃走劇が始まる。
感想※ネタバレ有
暑い夏に観るのにぴったりなサバイバルホラーでしたね。
何よりさすがフランス映画。
暗い。救いがない。鬱。
ご都合主義で主人公たちだけは最終的に何事もなく無事でした、みたいな終わり方をしないのがとても良かったです。
最愛の恋人は死に、自身は両足を失うという絶望的なラストを、映画を観た直後は、救いがなさすぎると思いました。
しかし、今考えてみるとむしろあれは父親から娘への愛が再確認されたラストだったのでしょう。
主人公はどことなく、娘よりも恋人の方を大事に思っているように見受けられます。
毎週末のように泊まりに来る娘がいるにも関わらず、片道2時間もかかる恋人のところに引っ越す予定。
酸性雨から逃げている間も、より生存率が高い選択肢を捨て、恋人のところへ向かおうとします。
娘も、父親の中で自分よりも恋人のほうが優先度が高いことに、薄々感づいているようでした。
いつかこの娘を捨てて、単身恋人のもとへ走っていくのではないかと終始ハラハラドキドキしていましたが、私の予想に反して主人公は絶対に娘を諦めません。
振り返ってみれば娘を救い続けたのは常に主人公でした。
今にも雨が降りそうな中、比較的安全な車から飛び出して娘を探しに1人走り出したのも、母親ではなく主人公。
母親が川に落ち溶けていくのを見て、助けに行かせてくれと泣きわめく娘を必死で止めたのも主人公。
母親の死から立ち直れず、もう無理だと心折れ座り込む娘を、叱りつけ立たせ走らせたのも主人公。
そうして最後、両足を溶かしながらも必死で娘を救いに行ったのも、勿論主人公でした。
言うなればラスト、主人公は恋人に会いに行くための足を娘のために犠牲にしたのです。
主人公が娘を心の底から愛していないとできない行動だと思います。
そういった意味では、救いのあるラストだったのかもしれませんね。
溶けて無くなった父親の足を見て、娘は自分が愛されていることを感じられるのですから。
それにしても足の動かない恋人に合うために必死だった主人公が両足を失う、なんて皮肉でしょう。
文句ばかり言って泣き喚き続ける娘にイライラした人も多いのではないでしょうか。
かく言う私も、自分の身も守れないくせに、母親や助けてくれた親子を見捨てた主人公を責める娘にイライラしていました。
あの川で娘に何ができた?
あの夜親子を助けるために、娘に何かできたか?
何かできたはずも有りません。
娘もそれはわかっているはず。
自分が何もできないことをわかっているから、父親を責めるしかないんですよね。
そんな娘が最後自分勝手に行動して、結局父親の足を犠牲にする。
観客としては正直、この娘余計なことしかしないなと思ってしまいました。
ある意味娘から父親への試し行動だったのかもしれませんね。
ここまで映画のストーリー内容についての感想でしたが、この映画何がすごいって視覚的な恐怖なんです。
特に母親が川に落ちて溶けていく場面は鳥肌物でした。
髪の毛も肌もどんどんじゅわじゅわと溶け落ちていき、そのまま沈んでいく……。
トラウマ物ですね。
酸性雨を浴びた人が、助けを求めて車のドアを開けるシーンも怖かったですね。
溶けていくビジュアルもですが、自分たちが助かるためにはその人を見捨てなければならない。
助けを求めてきた人を車から蹴り落とす主人公。
溶けていく人に触れれば自分も溶けてしまう。
人と人が救い合うことができない恐怖。
こういった直接的な表現もそうですが、
ポツリと落ちてきた水滴がじゅわっと道路を溶かす。
地下に逃げ込んだ2人を追いかけるように、流れ込んできた雨水が土を溶かす。
1秒でも判断が遅かったら、一歩逃げ遅れていたら……。
そんな些細な表現もゾワッと背筋を凍らせます。
果たしてあの親子は2人で手を取り合い生きていけるのか、世界はどうなるのか、続きがとても気になる終わり方をしたので、ぜひともアフターストーリーを制作してほしいところですね。
実は主人公の恋人は生きていて、手術も成功して歩けるようになり、主人公を探しに出る、的なストーリーないですかね。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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それではまた、次の投稿で。
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