隙間時間SNSの代わりに青空文庫を読むことにした。

細かな隙間時間、ついSNSに現を抜かしては、時間を湯水のように溶かしがちである。そのような自分自身にむしゃくしゃして堪らなかったので解決策を探した。

前々から気になっていたのである。
青空文庫。

著者没後70年だか経った作品は"著作権切れ"となるのは有名な話で、これを電子書籍でまとめ公開してくれているサービスこそが青空文庫である。しかして青空文庫、何故か全作品横書きとなっている。そこで、何らかのサービスを通すことになるのだが、今回「ソラリ」というアプリを使うこととした。

隙間時間に見るのだから当然スマホアプリである。このアプリ、素晴らしいことに、青空文庫を縦読みできるだけでなく、DLしておいた書籍はWifi環境外でも読むことができる。行あたりの字数や背景の色調整など細やかな気遣いもあるのが嬉しい。

私の中では単行本特有の上下の空白が広く取られている形がほどよく高級感があってよいとされているので、そのような設定にして楽しんでいる。

アプリを褒めるのはほどほどにしておこう。
隙間時間だが、これはバスの道中や(あまり誉められたものではないが)信号待ち、まじでやることがない休み時間など、外出中が主となっている。自宅は娯楽が多すぎる。

肝心のSNSだが、ぶっちゃけ見てはいる。半減はしたので手応えはまぁ悪くない。読書は「これを読んだ」という達成感があるので虚無を読み続けるSNSよか遥かに精神によかった。

ちなみに宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」を読んでいるのだがめちゃくちゃ面白い。なんで今まで読んでこなかったんだろう。幼き私は、"我輩は猫である"で近代文学入りした。故に、銀河鉄道の夜も長編で言い回しも難しいのだろう、と勝手に勘違いをしていたのだ。猫伝の100倍は読みやすかった。

おそらくば子供をターゲットに書いていたのだろうと思うので、当然といえば当然ではあるのだが。幻想的で浮遊感のある世界観は美しく、どことなく寂しさと温かさを感じる物語に魅了されていく。人物の関係性や世界の不可思議な部分が気になってページを先ゆく手が止まらなくなるのも素晴らしい。

…こう連ねてみるとあまり隙間隙間に読む本ではないような気もしてきたが。こういった名作をぽつぽつと読んでいくのは朝読書に近しいものもあり懐かしさもある。丁度子供が主役の作品なのも良かったかもしれない。

青空文庫では宮沢賢治作品の他にも、夏目漱石や太宰治といった文豪たちの作品が収められている。この年代特有の言い回しなんかが好きな人間には特に垂涎ものであろう。意外なところではカフカフランツやドストエフスキーなどの海外作品も。兎角、作品数では事欠かないので、読みたい本をすべて漁り切る日はそう来そうにもない。

幾度か話は脱線したが、ここのところの青空文庫の話はこのような次第。銀河鉄道はじき折り返し。ひとまずはジョバンニの行く末を見届けるとしよう。

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