両親について
筆者の家庭は、父、母、ふたつ下の妹、そしてわたしどこにでもあるようなありふれた家族。両親の両親、祖父母もまだまだ健在で関係良好な「ありがたいほど恵まれている」家系である。
父は車屋の営業をしている。幼い頃わたしは保育園でブロックでつくった電話をもち「何色の車が売れたのか」を聞いていた。それくらい前からずっと同じ会社で働いている。深夜2時に帰宅するような時期もあったが、わたしのピアノの発表会はちゃんと見にきてくれた。父の日に送った安いTシャツをまだ着ているし、わたしが大学受験で挫折した時は「あと一年一緒に暮らせるんだからむしろ嬉しいよ(=浪人すればいいよ)」と言ってくれたくらい、家族を大切にする「世界一やさしい」父だ。現在も(わたしの状態を見て)現職を辞め、わたしが実家に帰り、地元で就職することを望んでくれている。
余談であるがこの父方の祖父母、特に祖母は別の人から見てもわかるくらいにわたしのことを溺愛している。大学で下宿をすると決めた時は血相を変えて反対したらしい。(この時に背中を押してくれたのは母である)
この祖母に「すぐに仕事を辞める根性無し」だと失望されるのが怖い、というのが現職を辞められない一つの理由である。
母はいつもわたしの味方でいてくれる。いつでもわたしのことを大切にしてくれる。わたしのやりたいことをなんでもやらせてくれる。友達のような母だ。手芸も製菓も料理もなんでもする人なので、スーパーなおかあさんだと子どもの頃はまわりに自慢していた。よい成績を取ったときはとっておきのケーキ屋さんにつれていってくれたし、わたしが様々な大学や高校のオープンキャンパスに行く時、付き添ってもらうたびに「いろんなところに行けてたのしいよ、連れて行ってくれてありがとう」と言ってくれる。振り回しているのに、感謝してくれる。わたしを産んだ母はやはりすこし精神的に脆弱なところがあるが、だからこそのやさしさ、献身的な人格をもつあたたかい人である。
とんでもないくらいの愛を注がれてきた、そんな周りの人のためにもなんとか生きなければならない。注がれた愛の分だけ生きなければと思いながら、今日も社会人として世界の重さに耐えている。