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青空と一羽のスズメ
静かな田舎町の朝、空は青一色に染まり、まるでキャンバスに描かれた絵のようだった。風がそっと頬をなで、空を見上げると、そこには一羽のスズメが自由に飛び回っていた。
そのスズメは、小さな公園のベンチに座るおじいさんの肩にとまるのが日課だった。おじいさんは毎朝、同じ時間にそのベンチに座り、古びた帽子をかぶってスズメを待っていた。スズメが来ると、おじいさんは微笑みながらポケットからパンくずを取り出し、そっとスズメに与えた。
スズメはパンくずをついばみながら、まるで感謝するかのようにおじいさんを見つめる。その瞬間、青空がさらに鮮やかに広がり、町全体を包み込むように感じられた。
ある日、おじいさんがいつものようにベンチに座っていると、若い母親と小さな女の子が公園を通りかかった。女の子はおじいさんとスズメの様子をじっと見つめ、不思議そうに母親に聞いた。
「お母さん、あのおじいさんとスズメ、どうして仲良しなの?」
母親は微笑んで答えた。「たぶん、おじいさんとスズメは長い友達だからね。毎日こうやって一緒に時間を過ごしているんだよ。」
女の子はおじいさんに手を振り、にっこり笑った。おじいさんも手を振り返し、スズメはその小さな体で空へと飛び立った。
女の子が「バイバイ、スズメさん!」と叫ぶと、青空に消えたスズメはまるでそれに応えるように、空高くさえずり返した。
おじいさんはその声を聞きながら、静かに目を閉じた。彼の心の中には、いつまでもこの青空とスズメとの思い出が続いていくのだと感じた。
そして、その青空は今日もまた、新しい一日を穏やかに迎えるのだった。