おでんとプロフ帳
先日、小学2年生くらいに書いたものだろうか、プロフィール帳を一枚見つけた。誰にも渡されることなく引き出しに眠っていたらしい。きっと初めて書いたものだろう。
ほほえましい内容だったが「好きな食べもの」の欄に「おでん」と書かれていた。
なるほど、確かに今も好きではあるがここに書くほどだっただろうか。
女児向けのキラキラした台紙には、やや似つかわしくない渋めのチョイスである。
しかし、思い返してみると、
「今日のご飯なに?」と尋ねたときの返答で一番テンションが上がるのは、
おでんだったような気がする。
去年、石川でおでん屋さんに入ったが、一つ一つ値段が分かるとどうにも意識しないのは難しいらしく、つくづく自分の貧乏性に呆れた。
もちろんおいしかったが、家でたっぷり食べるのが自分には合っているなと感じた。
とてもなくなりそうにない山盛りのお鍋。
さらにベンチには追加要員が控えている。
黙々と食べ続けていると、いつのまにやらお鍋の底が顔を見せ始め、あんなにあったのにねえ、と母と笑う。
〆は茶飯をだしに浸して食べる。
下品な話になるが、茶飯をすすっていると高確率で鼻に米粒が入ってしまっていた。
当時は本気で不思議がっていたが
「急いで食べるからだよ」
と母に言われてからは、ぴたりと止んだ。
上に兄弟がいると早食いになるというのは本当なのだろうか。
なんでもすぐにランキングを作りたがる私だから、当然おでんの具もしょっちゅう順位を付けている。
不動の一位は大根。
この手のランキングで困るのが、一位にしたいものはあるけれど、その他の順位はだんだんどうでもよくなってくるところである。
厚揚げも煮卵も入っていないと寂しい。
つみれや巾着は見つけると嬉しくなる。
要するにみんな大好きなのだ。
なら最初からランク付けなんか始めるなとも思うが、こういう人間だからしょうがないらしい。
ともあれ好きな食べもの「おでん」と書いたリトル歯茎を褒めてあげたい。
プロフ帳といえば、高学年のころが一番のブームだった気がする。
恋バナコーナーに馬鹿正直に好きな人のイニシャルを描いたら、どうも学年に一人しかいないらしくすぐにバレた。
今の小学生もやってたらいいなあとかなんとか考えながら、湯気に眼鏡を曇らせている。