隣る人は心の温度調整係
「当たり前じゃねーからな、この状況」
極楽とんぼの加藤さんが山本さん復活時に言った言葉。
10年という年月を経て、芸能の舞台に帰ってきた山本さんに対して、いろんな人が関わってくれることの大切さを説いた言葉。
あくまでエンターテイメントの中でのワンシーンだった。筈だった。
でも、本気の言葉だったから、多くの人の心に残り続けているのではないか、そう思う。
記憶ではなく、心に。
突然ですが、隣にいてくれる人のことを『隣る人』というのだとか。
ただ、当たり前のように、いつも隣にいてくれる人。
僕には、ずっといなかった。
いや、誰かが隣にいてくれることが怖かった。
近づいて来る人がいる度に自己否定して、人と関わることを避けてきた。
自分を否定して、自分はダメなんだと諦めてしまった方が、そのときは楽なんだけど、やっぱり後に残るのは後悔だけだったりする。
今、幸運にも自分には隣にいてくれる人たちがいる。
家族、友人、恋人、同僚。
本当にありがたいことだ。
ただ、それが怖かったりもする。
また、昔のように傷付けたりしないだろうか。
自分と関わることで不幸にさせてしまわないだろうか。
いつだって誰かといることは怖くて、
でも、誰かといるときは、心のどこかが、暖かくて。
俵万智さんの有名な詩に
寒いねと話しかければ寒いよと
答えてくれる人のいる暖かさ
というものがある。
この詩を小学生で習ったときは、大して意味も分かってなかったけど、今は痛いほど分かる。
誰かが隣にいてくれるって当たり前じゃなくて、
1人は孤独で、1人でいると、どんどん心の温度が下がっていく。
心をあっためてくれるのは、
同じく誰かの心だったりする。
誰かといることは怖い。
また、傷付けてしまうかもしれない。
でも、誰かが隣にいてくれることは
決して当たり前のことじゃない。
かけがえのない幸せだった。
もう手放してはならない。
どれだけ怖くても。
逃げずに。
今度は自分が
誰かの心をあっためられるように。
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