第6話 2024.8.14

「突然だけど、話したいことがある」
「何?キモいんだけど」
「まだ何も話してもないのにディスられることとかあんの?」
「で、何が言いたいの?」
「驚かずに聞いてくれよ」
「はいはい」

「俺たち、終わりにしないか?」

「、、、、」
「ショックなのは分かる。俺にとっても苦渋の決断だ。だがな、俺たちも良い歳だ。お互いの人生のことを考えてだな、その、、、」
「いや待て待て」
「何だよ」
「え、何言ってんの?」
「いや、まー分かるよ。動揺する気持ちも。俺かお前、どちらかといえば、こういう決断するのはお前の方だって事も。でも俺はな、、、」
「いや違う違う。根本的に違う。精子からやり直してこい」
「いや精子からって何?え、人格形成前に戻れって事?」


「てか、そもそも付き合ってないからね?」

「、、、え?」
「いや、そんな少し前の櫻井翔ばりに"嘘だろ"みたいな顔されても困るから」
「占拠のときのな」
「あのドラマのこと占拠って略す人いないと思うけど」
「てか、どういうことだよ。付き合ってないとか意味分かんねーよ。若い男女が近い距離でお話してたら、それはつまりウフフな関係ってことでしょうが!」
「いや赤ちゃんはコウノトリが運んでくるって信じてるタイプの阿呆かアンタは。さすがに呆れるわ」
「え、てことはアレか。俺だけが彼女が出来たと思ってエヘヘヘヘってなってただけか!?だからお前昔、俺がエヘヘヘヘって笑った時、一緒に笑ってくれなかったのか!?」
「いやそんな伏線回収みたいなことされても困るから。全部アンタの勘違いだし」
「ひどい。ひどすぎる。乙女の心はか弱いんだぞ。お前にはデリカシーってもんがないのか!」
「アンタ、チ○コついてんでしょうが。何が乙女だ」
「お前こそ、乙女が平気で下ネタ言うんじゃねーよ。てか馬鹿みてぇじゃねぇか。ずっと俺だけ舞い上がって。この先、お前と話す度に蘇る記憶で傷付く俺。馬鹿みたいじゃないですかぁ」
「なんて勇気のない数秒やってんのアンタ」
「うるさい。まったく、悪魔のような女だなお前は。は!さてはオハラの生き残り、、、?」
「ワンピネタはもういいよ」
「じゃあ1つ聞くけどよ。付き合ってもない俺にどうしてこんなに絡んでくれるんだよ?」
「、、、え、暇だから」
「ホントかよ」
「ま、ボランティアみたいなもんだよ。アンタ卑屈だし、ほっといたら訳わかんないこと始めそうだし。現に一年放置したら付き合ってる設定にされてるし」
「ひどいこと言うわ」
「ひどくもないしロビンのことは忘れろ」
「でもでも、お前昔言ってくれたじゃん。俺といるだけで人生に意味が出来たって。あれ半分告白みたいなもんでしょ。脈アリまったなしゲロゲロウ○コでしょ!」
「何その世界一汚いギャル語みたいなやつ。そういえば、言ったっけ、そんなこと」
「アレを無かったとは言わせねーぞ!あの発言が今日の俺の痴態に繋がったと言っても過言ではない!」
「痴態とは思ってるんだ」
「で、どうなんだ。本当はゲロゲロウ○コだったんだろ!?」
「せめて脈アリって言え」
「てことは脈アリだったのか!?」
「違うから。てか他人の話ちゃんと聞け。そんなんだから他人の言葉にいちいち一喜一憂するんだよ。アンタみたいな奴がフェイクニュース間に受けてネットに拡散するんだろうね」
「じゃ、じゃあ何であんなこと言ったんだ!」
「ただの気まぐれ。てか思ったこと言っただけだし。てか、アンタは仮に私と付き合ってると思ってて、それで今日その関係を終わらせたいって言ってたよね。それは何で?きまぐれって訳じゃないでしょ?」
「、、、え、攻めに転じるスピード早くね?」
「馬鹿に構ってるほど暇じゃないの」
「暇つぶしで俺に絡んでるのに!?」
「はぐらかさないで」
「いや、はぐらかしてるわけでは、、、ただ、ちょっと発言に矛盾があったからツッコミを入れただけというか、笑いを優先しただけというか、、、てか怖いですよオネェさま。本当に顔が悪魔に見えます。バスターコールで生き残りそうな顔してます」

「私はさ、人生に無駄な時間なんて、ないと思ってる」

「、、、え、あの、急にどうされました?」
「仕事でクタクタになって死にそうな時間も、未来を考えて怖気付きそうな時間も、気の合う奴と他愛のないことを話す時間も。私にとっては等しく意味があって。その全てが今の私を作ってる」
「、、、」
「人生に後悔がないなんて言ったら嘘になる。ずっと迷ってばかりで、自分で決めたことでも、いつのまにかそこに自分の心は無くなっていたりして。もうどうでも良いやって投げ出したくなることが、眠れなくなる夜が何度もあった」
「、、、」
「だから、今の自分が思ったこと、感じたことを何も考えずに話せる相手がいることは私にとって、かけがえのない財産。それが本心」
「、、、」
「アンタは?」
「、、、お、俺は、、、お、俺だって、、、」
「俺だって?」
「俺だって、、、って、何この誘導尋問!?終わらせたくないんですか!?」
「いや、そもそも始まってもないし」
「じゃあ何この圧力!?怖いよ!?え、もしかして本当に付き合ったら重たい系彼女ですかアナタ!?」
「安心して、アンタは一生その答えを知ることはないから」
「いや、ナチュラルにフるのやめてもらえます?てかアレだぞ!俺が終わらせたいって言ったのはだな、俺がお前の重荷になってないかって思っただけであってだな。何もお前が嫌いとかそういうんじゃなくて。なんなら、蓋を開けてみたらお前の方が別の意味で重そうだったし」
「アンタって一言余計なこと言わないと死ぬ病?」
「いや、どっちかっていうと島に入ったら死ぬ病かな」
「ONE PIECEに呪われてんのアンタ?」
「ノブロックTVのONE PIECEコラボ回観た直後だからな。今日の俺は聖剣の如く呪われてるぜ!」
「もうツッコまないからね」
「てか、意外だったよ。お前が俺のことを財産とか思ってたなんて。そうか、俺こそがひとつなぎの大秘宝だったのか、、、!」
「、、、」
「いやホントにツッコまないんね!」
「当たり前でしょ。キリないわ」

"だって、アンタとの会話に終わりなんてないんだから"

「、、、お前、よくそんな恥ずかしいこと平気で言えるよな」
「誰かさんの影響でしょ」

今、話したい誰かがいる。
それを幸せと呼ばず何と言おうか。

、、、あの頃の乃木坂良かったなぁ(遠目)




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