「涙」
(公園のベンチで深刻な表情をしてる青年が座っている。)
青年 語り・もう会社には行かない。いいんだそれで。自分が行ったところで誰かの役に立つわけじゃない。変わりはいくらでもいる。
(携帯の振動が止まらない。)
青年 語り・この振動も少ししたら止まる。知ってる。無断で休んだ相手に連絡を入れる業務を淡々とこなしていることも。
(携帯の振動が止まる。)
青年 語り・ほら。自分なんて誰も必要としていない。必要してるふりをみんながしてるだけで、自分なんて誰も。
(青年の目から涙が。)
青年 語り・あ。なんだこれ。目から勝手に。あ。涙か。泣いてるのか。俺。誰の役にも立てない自分に。でも、知ってるこの涙も止まることも。
(涙が止まらない。)
青年 語り・あーあ。止まらないや。なんでだろ。何したって誰の役にも立てない。誰かの役に立てると思える仕事が何か考えても、自分にできる気もしない。どうせならこのまま涙が流れ続けて海になったらいいのに。海になったらみんなが遊んでくれて、誰かの役にたったと思えるかもしれない。
(涙が止まらない。)
青年 語り・そんなことあるわけないか。でも、おかしいな。なんで止まらないんだろ。なんで…なんで…
(身体中の水分がなくなり青年は枯れる。)
(ベンチの地面に綺麗な花が咲く。)
(公園に少年がやってくる。)
少年・わー!お花!綺麗!!
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あめがとう◎