【ネタバレ】Switch版Cresteajuを語りたい 降神祭~蒸発 & ユミ過去
Switchクレスのざっくりした感想(降神祭~オイルレイク蒸発まで +ユミの過去)です。
ネタバレあり、箇条書きスタイルです。
※PC版はプレイ済みなので、PC版のストーリーを全て知った上で改めて感じたこと、考察したことです。Switchでの追加要素は初見です。
降神祭だけでもすごく長いんですが、ワンテーマだけなのもアレなのでユミの過去も同記事で語ります。見やすさのために目次を……
◆降神祭~シルバーリング完成
・初戦を終えて二手に分かれる。やっぱりルナン、ディザ、ナック、サヴィアーの4人の安心感。いつだってこの4人で戦ってきたよなぁってしんみりしてしまう。
・三戦して外を見ると、大陸中の町の人々が大神殿に押し寄せてきてる。ノーステリア議長にアルシア長老、アネート町長まで……!
なんと胸熱だ……最高だみんな。フィルガルト中の人々に、それまでなかった“団結”が見える。
・デスマシーン隊を倒して中心部へ。ディザ「突っ込んでやろうぜ!!」、いま無茶せずにいつするんだと言わんばかりの声掛け。最高に士気が上がる。自分たちがなんでもできるような気がしたよね。
・中心部、めちゃくちゃ人がいる。大陸中のエターナルが集まる規模といったら実際の大きさとしてはホール以上? 武道館とかそれくらいか……
クレイシヴはルナンを指して「神が姿を現した」と言うと、部下たちみんなこっちを見て大歓声。クレイシヴは演説を続け、今度はみんな彼のほうを見て歓声。異様な光景すぎる……
目的はアージェ、手段がシルバーリングなのをわかっていながら、降神祭でなぜかクレスティーユの話。何を考えてるか(何をしでかすか)わからないから止めに行くしか選択肢はない。そしたらこの出迎え……状況が把握できないが、また乗せられてることだけはわかる。
すると光が飛び、部下たちが次々と倒れていく。そしてやがて全員倒れる……あたり一面、遺体の海。人数が減るにつれて歓声も小さく侘しくなっていき、最後の一人が叫びをやめてパタンと倒れ無音になるのを想像すると、さぞ脳裏に刻まれるおぞましさだろう……
ついにシルバーリングの完成。人の精神を宿す。「エターナルなくして集めることは困難だった」……乗っ取った理由はこれだった。同時に、記憶の遺跡~バイツ山での「我らより肉体を奪った」の言葉の意味が回収される(が、ゲーム中で明確に言葉にされなかったので以前の自分は気づけなかった……)。
◆~オイルレイク蒸発
・で、全員の精神を宿し終わってから、ルナンが一言も喋らない……ここから先、物語中で最も目を背けたくなるシーンが来る。しかし見届けなくちゃならない。ここからどんな気持ちで見たらいいのか全くわからなかった。
クレイシヴが「ルナン……行くぞ」、ディザ「馬鹿なこと言うんじゃ――」「はい」。
ああ、ついに始まってしまった……ルナンは淡々とクレイシヴのほうへ向かおうとする。ディザは彼女の前を阻む。「ディザ、どいてくれる?」「どうしたんだよ」「でないと私はディザを……お願い……」
音楽によって“操られ始めた”ことを演出しているので、プレイヤーはすぐにわかる。でもそこにいる彼らには、その始まりに明確な合図も予兆もない。ただ明らかにルナンの様子がおかしく、懸命に声をかけるが聞いてくれない。サヴィアーもナックもすぐに気づく。
「これがシルバーリング、わたしには逆らうことのできない力……」、はっきりと口にする。「操られてるってわかってるんだろ? なら操られまいって思えよ」、ディザもとっくにわかっている。でも目を覚まして欲しかった。
シルバーリングが操るのは身体ではなく意思なので、どうしようもできない。「わたしは、そういうように生まれたんだから」……
この時向かい合ってたディザとルナンの中に、どれほど激しい感情が渦巻いて、視線や表情から、声色から、どんな壮絶な心のやり取りを二人の間でしていたのか想像もできない。ルナンだって心の奥底では全力で抵抗してたと思う。だからディザにすぐに手を出さず、どいてと何度も懸命に伝えた。
ディザが「ならクレイシヴを」と考えるが、ユミが改めて警告する。本当に彼女に殺される、ここは成す術がない……
ディザは屈辱的な気分だっただろう。何もかも全部クレイシヴの掌の上。いつもそばで支えた彼女が、もう彼女じゃない。
道を開け、ルナンが通る。彼女は背を向けたまま「みんな……ごめん」。
無理だった。ここまで涙目でずっと見てたが、ぼくの感情はここで崩壊。胸が強く締め付けられてあり得ないくらい泣いた。今までのみんなとの思い出がフラッシュバックしてきてどうにも耐えられず。
操られているのはクレスティーユではなく“ルナン”なんだ。みんなのことが全く意識にない千年前の彼女にすり替わったのではなく、ちゃんとみんなと旅をしてきた日々、過ごした時間を覚えていて、その今のルナンの意識のまま支配されている。あまりにも残酷すぎる。
クレイシヴもよくも“ルナン”のほうで呼んでくれたな。新しく生きるためにつけられたこの世で一番尊い名前を、操るために気安く呼ぶのが憎らしい。それが余計に残酷さを増長させる。
・オイルレイクに向かったクレイシヴとルナンをグラウンドシップで追う。「もっと速く飛べないのか」「もう限界以上ですよ」、ディザもサヴィアーも当たり前に必死。みんなオイルレイクに着くまでの間、どんな思いを巡らせてただろう……。
途中でノーステリア東の遺跡を通る。ここでクレスティーユの研究記録を読んだ。生命兵器にどんな力があるのかを知った場所。遺跡を出る時に「私がなんであっても、みんなはいてくれるよね?」と彼女が心の中で呟いた場所……これも演出なのか? もうやめてくれ……むり……
・山頂に着き、クレイシヴがルナンに「やれ」と命令。彼女はオイルレイクの前に出て……3Dムービー。ルナンの髪が風になびく様、山肌のごつごつした質感、全部視覚的に綺麗だし迫力満点。
そしてディザの声よ……ルナンは口元から上が映らず、表情もわからない。おぞましい魔法エフェクト、オイルレイクが蒸発していく……このムービーだけ何回でも観たい。
そうして湖の中から姿を現したのが、イリ―ディア。学者がどんなに調べてもわからなかった場所。クレイシヴはついに目的達成のための障害を全て排除した。彼の今までの行動は全てこのためだった。
ディザはその蒸発を目の前で見てもなお、諦めず止めようとする。今にも攻撃しそうな勢いで、仲間が止めても聞かない。その必死さがある意味嬉しくもあるけど本当に危険で、何が起こるかわからなくて息を呑む。他のみんなだってただ立って見ていたいとは思ってない。「そんなことできるか! なぁルナン!」ディザは声をかけるが、彼女は何も答えず。
リアルな話、サヴィアーは補助魔法をディザにかけて動きを止めるか、ナックがルナンの攻撃からみんなを守るためワールドの準備をするか、そこまで視野にあったと思う。それほどの非常事態。
しかし救世主はユミ、シルバーリングを吹っ飛ばしてくれた。彼女がいなければ本当に仲間が死ぬところだった。今回はユミがディザを、そしてみんなを助けてくれた。
この降神祭~ルナン制御~オイルレイク蒸発は、物語中で一番と言っていい衝撃展開で、最終決戦にかけてのクライマックス部分。
泣きながらイヤホンの耳の中で響いたFATED FORCEのメロディが、今も頭にこべりついて離れない。あの美しい旋律から、運命に抗えない無力感、仲間の声が届かない切なさ、生命兵器の力の恐ろしさ、かつての文明が作り上げた壮大な歴史……色んなものを感じさせられる。
◆山頂の夜明け
気を失ったルナンが宿で目を覚まし、イリ―ディアを見る。自分がずっと暮らしていた場所。自分が生まれた理由。
そこにディザが来てくれる。何もなかったかのように普段どおりに話しかける。「こうなったらもうイリ―ディアに乗り込もう」「何があったって俺たちはみんな一緒だ。元気出せよ」
ディザは彼女が目を覚ますまでの間、どんな言葉をかけようか悩んだかな。話に聞いた力を実際にその目で見て、彼だって衝撃を受けたはず。でも上手いことなど言えるはずないと初めからわかってて、特に深くは考えなかったか。それとも色々考えた挙句、やっぱわかんねーしいつも通りがいいなってなったか。
するとルナンは「私の力をあなたも見たでしょ」「わたしは戦うために生まれた。みんなとは違う」と……ディザは黙って聞く。
悲しんだり、一人で整理する時間すらなかったから、今沸き起こった悲しみをぶつけることで精一杯なんだと思う。ディザが思った以上に普通に接してくれるから逆に怖くなったのか、一旦 自己否定に走ることでディザがどこまで本心で言ってるのか確かめたかったようにも見える。
「与えられた運命を変えることなんてできなかった」「だからこうしてイリ―ディアが……私がいたから……」。ルナンは言葉がたどたどしくなっていく。だからどうするという答えがあるわけではなく、操られてる時の無力感、敗北感を今ようやく口にできるから、受け止めてくれる先が欲しい。至極リアルな感情で、相手に心を開いているからこその態度だ。
ディザはここで決して彼女の気持ちを否定してはいけないとわかっていた。
じゃあ生命兵器として生きたいかと訊けば、嫌だと即答。ならいいじゃん、と。
「お前は何のためにオレやみんなといるんだ? 自分の幸せは何だろうって考えるんだ?」「それはお前がフィルガルトで生まれたからそうするのか? もしこの時代で生まれたら違った?」
いいや、時代も居場所も関係なく、みんな同じことに悩むし、みんな自分をなかなか変えられないことに嫌気が差す。ルナンはそれに気づく。
「ディザがいなかったら、私どうなってたんだろ」「俺はお前がいなかったら、まだクレイシヴを追い続けてただろう。おっさんもマークスに行かなかっただろうし、みんなバラバラだったろうな」
物語の終盤になるにつれて自分が少しずつ思っていたことだった。出会いがお互いの内面に変化をもたらした。お互いに良い影響を与え合った。
「でも、もしもはあり得ない」。序盤フェイマルで話した“もしも”は、もっと良い選択があったかも、現状が間違いかもというネガティブな話だった。でも今回の“もしも”は、出会わなければ今ほど良い旅にはならなかった、だから出会えて良かったというポジティブのそれ。
戻ろうとしたディザを呼び止めて、ルナンは一言「本当に、ありがとう」。勝手に、何度も言ってきた言葉のような気がしてた。でも実際はこの一度だけだったんだっけ。ここでちゃんと伝えられて良かった。。
ルナンにはディザが必要だったし、ディザにもルナンが必要だった。誰しもが一人では無力なのかも知れない。だからみんながみんなを必要とするし、出会えたことに感謝できるんだね。
◆ユミの過去
あるタイミングで、偶然グラウンドシップ内のユミに話しかけたら始まった!
名は知れているが生活が苦しい研究者で、ウニ……じゃなくてオイルレイクの調査中にエターナルに声を掛けられ、知識の提供を求められていた。
アズグレイと会話しながら、優しかった頃の父クレイシヴとの過去も並行して映し出されていく。
・父のことを振ってみて関心があるか確かめたり、「研究家の生活は大変でしょ?」の一言で取引だと察したり、やっぱ頭がよく回るんだなぁユミは。
エターナルふたりの圧を感じつつも強気を貫いてるし……けど話に応じてる時点で負けだったのかも。彼女のふてぶてしさは母親譲りなのかとも思ったけど、独りで強く生きていくために自分で身に着けたものなのかな。
・ファスラクリア、イリ―ディアの場所、三つの神について尋ねられる。なんとユミはイリーディアの場所をずっと知っていた!
みんなに教えなかったのは、教えても特にメリットがないし目的は変わらないから? それとも父に色々教わった過去を思い出したくなかっただけなのか……
エターナルには「絶望の底に沈んだ」と答えたが、彼らは「場所を知るのは絶望的だ」という意味で捉えたのかね。
・話した後、ユミは後悔していた。「将来は学者になるかも知れないな」と父にも褒められたくらい、昔から知的好奇心が強かった。
今は父を許せない。でも父から教わった数々の知識をどうでもいい奴らに売ったことへの罪悪感がある。学者としてのプライド。でもこの道を進んだ動機はかつての純粋な好奇心ではなく、変わってしまった父を追うこと……正反対の思いがごちゃごちゃになってたのかな。
夢中に走り出してる間、「インフレーション、強いの?」「……そうだな、とても強かった」。これは純粋に父との思い出を回想してるのかな。ユミがクレイシヴに抱いている感情は、ただ“許せない”一辺倒ではない非常に複雑で大きなものなのだとわかる。
父の言葉に詰まった感じも、生命兵器としてのコンプレックスが表れてるようだった。
・そして、この親子の過去の会話で、語らないわけにはいかない部分。
ユミが父に尋ねた「なぜクレスティーユを起こさなかったの?」。そう、確かにこれ気になってた。原理的に装置から起こすのが不可能だったのかとも思ったけど、ちゃんと彼の中に理由があった……
「私と一緒ではなく、遠い未来で、自分の足で歩いてほしかった」……(´;ω;`)
彼女が彼女として生きていくための、クレイシヴの優しさだったんだ。見捨てたわけではなく、自分自身の足で生きられると信じて、悩んだ末に出した答えだったんだ……
・それから、それを聞いたユミの一言「私は一緒に暮らしてもいいのよ」。
重い衝撃が走った。確かにルナンとユミは遠い親戚のような気もしていたが、こう言葉にされると、これはユミの過去どころか物語の核心にまで迫るエピソードであることがよくわかる。
そう……クレイシヴの選択によっては、ユミとルナンは家族だったかも知れないんだ。
もしそうなら、Cresteajuのストーリーは何もかもが変わってくる。名前も“ルナン”ではなく、千年前の記憶も捨てなかったかも。サンピアス襲撃で、子が二人もいれば、父の行動にどう影響したか。もし行動が同じでも、残されたユミとクレスティーユはどんな人生を歩むのか……。
でも“もしも”はあり得ない。ただこのユミの一言が、物語をさらに奥深くエモーショナルにさせている……。
しかもそれだけじゃない。つまりクレスティーユの存在を父から聞いていたユミが、時を経てゼビアマインでルナンたちと出会うわけだ。
ルナンがクレスティーユであると父が言っているなら、彼女はそれを疑わないだろう。ルナンが記憶を取り戻す前から、もうルナンをクレスティーユとして見ていて……そして、「もしかしたら家族になってた女の子」として、ずっと見ていたことになる……
だとしたら……ツーリアから脱出したルナンをグラウンドシップに連れて、「一人でもジーダイへ行くのよ」と話した彼女はどんな想いだった? 「ゆっくり休みなさい」の一言は、どんな想いでかけてたんだ……?
このエピソード……とんでもないです。全てがひっくり返る。まさか過去エピソードでどんでん返しを食らうとは思わんかったです……
おかげで二周目も新鮮に楽しむことができます。とても感激です。
・この話を、ユミが、ルナンに話している。なんて奇跡的な瞬間を目の当たりにしていることか。
二人が家族であれば助け合って生きる余地はあったが、二人はそれぞれの人生を歩み、ルナンには父も仲間もいた一方、ユミはずっと独りだった。それでも生きてきたユミはとても強い人だなと思う。
流砂の遺跡でルナンとガゼールの再会を見ていた時の気持ちを考えると……言葉も出ない。ユミが“もしも”を抱えているなら、一つは母親の死、もう一つは目の前にあるはずだった“姉妹”の存在。
二人がこうして向き合って話していることが、何かこう、“再会”のように見えた。べつに別れてもいないのに。
「いいこ、いいこ」で流した涙には色々な意味があったと思う。ルナンは驚いてたので“家族の可能性”のことまでは話さなかったんだろうけど、「誰にも言わないで」(ちょっとかわいい……)は、紛れもなく姉妹の姿だ。
てかいきなり冗談でいいこいいこしだすルナンもちょっとかわいい。
・「過去の記憶は忘れられないけど、あなたたちと過ごした時間は過去を癒してくれた」。
一文としてすごく綺麗だし、彼女が誰にも見せられなかった弱さと、自分の足で生きてきた強かさの両方が紡ぎ出した美しい言葉。みんなのユミ姉貴ではなくユミという一人の女性の美しさ、そして人間の美しさが表れた言葉だと思った。
・話が終わるとインフレーションが修得可能になるのもすごく素敵。昔に覚えた魔法を、当時の記憶と向かい合ったことで使えるようになるって流れが。
・余談……建国宣言からツーリアにかけて、クレイシヴの行動を先読みするような発言の理由も納得できた。彼女なら父が次に何をするのか見えていて当然。
わからなかったのはシルバーリングのことだけで、それもわかってからは行き先がオイルレイクなのも読めてた。だからルナンが操られた時も彼女だけ人一倍冷静で、シルバーリングを吹っ飛ばす準備もできてたわけだな……
……はい。これでも語るべき部分を取捨選択しているつもりです。
ストーリーを進めれば進めるほど、感じたことを言葉にすればするほど、この作品に出会えて良かったという気持ちが強くなっていきます。
次はいよいよラスト……ラストにできるかな。まとめとか、トゥルーエンドの感想も書くかも知れない……
Cresteaju