【ネタバレ】Switch版Cresteajuを語りたい イリーディア~The End

Switchクレスのざっくりした感想(イリ―ディア~ノーマルエンディング)です。
ネタバレあり、箇条書きスタイルです。
※PC版はプレイ済みなので、PC版のストーリーを全て知った上で改めて感じたこと、考察したことです。Switchでの追加要素は初見です。

◆イリーディア

・滅びの都。このイリ―ディアの外観とか、戦闘画面の背景とかめっちゃ綺麗で好き。BGMもカッコよくて大好き。色んなダンジョンの世界観で圧倒的に一番好き。
イリ―ディアの外へ出て会話。「あの時は何とも思わなかったけど、なぜ戦いがあったんだろう」。戦争が当たり前だった時代と、戦争があり得ない時代、ルナンは両方の感覚を知ってるんだな。記憶を捨てなかったクレイシヴは新しい時代に適応する必要があったけど、ルナンは両極の世界をそれぞれ真新しく見られるのな。なんかすごい。
・彼女が暮らしてた研究室の部屋。荒れ果てた空間を見て時間の経過を感じ取る。知っている両極の世界の点と点が、線で結ばれる。ヴィーナガードもしっかり手に入れた。

・皇宮でディーンと会話。
時の牢獄に幽閉とは、ディーンは侵略で殺されたとかではなく、肉体だけ奪われて精神体としてずっと彷徨ってる感じ?
欲のために生み出した二人を散々利用して、都合が悪くなったら切り捨てて勝手に滅んだ愚かな奴らだと思ってたが……ユミは「弱かったからこそ強い力を欲した」と言ってたっけ。
弱いままだと周りの国に奪われて支配されるから、強くあるしかなかった、というのもあるのかな。奪われたくないから力を求める。自分が力を得ると相手もさらに力で上回ってくる。そしてさらに求め……辞められなくなる。そうして戦争が終わらず、最後はその力を持っていたせいで全て奪われる。
結局「何が悪かったのか」の根源がどこなのかわからない。生命兵器たちは国の犠牲者だと思うが、その支配者のディーンですら、戦争の世の中に支配されてたのだとしたら……「災いの“渦”」という表現がいかに的確か。ぐるぐると回り、終わることなく、吸い込まれて戻れない。誰が起こしたわけでもない自然現象。
「クレスティーユとクレイシヴ、どちらの望む世界がその先にあるのか。歴史の終結か、新たな歴史が続くのか……見届けよう」
過去を望む戦う者と、未来を望む戦う者。その戦いを皇帝がアナウンス。これ以上ない豪華な舞台が整う。

◆最終決戦

・クレイシヴは歴史の改変を望み未来を拒否する、過去の象徴。ルナンは過去を肯定し未来を望む、未来の象徴。
未来を望むのはもちろんルナンだけでなくみんな同じ。でもこの物語において「未来を望む」ってどういうことなのか、決戦のみんなの思いを考えると、ただならぬことなのがわかる。
未来を望む気持ちは、過去を顧みないと決めたからこそのもの。変えられない過去を受け入れて初めて未来を向ける。つまり「未来を許す=過去を許す」でワンセット。
人間、誰にだって“もしも”があり、本当はやり直したい過去の一つや二つある。アージェがあれば、故郷も失う前まで戻れるかも知れないし、両親が殺される前や、多くの町人が死ぬ前まで戻れるかも。それでもみんな未来を選ぶということは、“世界線”という言葉でその覚悟の強さが説明できる。
ルナンにとっては「戦うために生まれ、利用され捨てられ、故郷が襲われる世界線でもいい」。ディザやナックにとっては「両親が殺される世界線でもいい」。ライゼルは「自分が人々を死なせる世界線でもいい」、ユミは「故郷や家族を失う世界線でもいい」。それでもいいから、未来をよこせと。
どれだけ輝かしい姿なのか。みんな本当に強い。生半可な気持ちでここに立っていないのがわかる。
この世界は実に残酷。クレスフィールド壊滅、サンピアス壊滅、ディザとナックの両親の死、マークス壊滅、ドーグリ貧困化、これらが全て揃わなければ、みんなが出会える世界は成立しない。
悲劇だ。でもみんなが出会いを肯定できたなら、それは奇跡なのかも。

・ルナン「わたしとあなたでは望む先が違った」、クレイシヴは「違いはない。互いの幸せがそこにあるだけだ」。
自由だが守られていない今の世界より、支配されてても守られていたフィルガルト時代のほうが幸せ……なんだか仕方なくエターナルに従う町の人々のそれのように感じる。
しかし、ルナン「あなたが過去を懐かしもうが悔もうがどうでもいいことよ」。ここまできっぱり言う。
戦うと決めた以上、それぐらい突き放すのもわかる。けど彼が過去を悔むこと自体を「理解はできるが許せない」ではなく「理解する気もないし許せない」とまでなることに、何となく悲しさもある。深い溝というか、ほんとに障壁……難しい。

・戦闘開始。マップをそのまま立体にした感じでアージェを背にした背景めっちゃイイ。PC版より暗がりでより不穏に。
クレイシヴ攻撃開始の声「もうアージェを止めることは……できぬのだ!」、文末は怒鳴るように言うかと思ったら違った。これはこれでちょっとクールだな……
そしてクレイシヴ変身前の喋り声、めっちゃイイ……不気味かつ渋かっこいいし、音楽とのシンクロが最高すぎる。これはアガる……そして変身後のグラフィックかっこよくなってる!

・ユミのチャージショットで倒した。トドメは娘。
勝利後、アージェが光りだす。みんなはアージェの元へ向かうがどうすることもできず辺りは暗闇に包まれる。
ルナンは目覚め、暗闇の中でアージェと対話。時は沈み始め、周りは無になってルナンだけが自我を保っている。
ルナンはアージェに「なぜこんなことを?」と問うと、「それが生まれ持って与えられたことだからだ」と。永久に眠り続け、誰にも求められなかった。それがいま初めてクレイシヴに求められ、ようやくすべきことができると。
決まった運命のために生まれたとして、アージェはクレスティーユと同じだと言う。
彼女は生まれた理由がどうであれ、生きる理由は自分で見つける。自分はアージェと違って自由である、だからあなたは敵わないと言い切る。フォールン戦の時の彼女のような落ち着きが感じられた。
「わたしの力は戦うためじゃない。みんなを守るために使う」。シルバーリングの支配下でなく、自らの意志で力を使う。運命に沿うのではなく自分で運命を切り開く。
やはり、彼女は“戦う者”だ。戦うために生きるんじゃない、生きるために戦う。
アージェ「やがて止まる時の中でどれほど力を出せるか見せもらおう、クレスティーユよ」。
そして答える。「わたしは、ルナンよ!」
この一言は物語中の彼女のセリフで最も迫力があり、彼女が生きている証を示す、一番主人公らしさが感じられるセリフだと思う。
記憶を取り戻すまでの頃、クレイシヴに「クレスティーユよ」と呼ばれて「違う、わたしはルナン」と否定するのとは違う。自分がクレスティーユであることを認めた上で、今の名はルナンである、過去ではなくこれからを新しく生きるための名であることを示すセリフだ。

◆世界のかけら〜風は時を越えて

時は流れ始めた。
ディザが名前を叫んで夢から飛び起きるところから始まる。ナックが部屋に入ってきて、なんて叫んでたのか訊かれるが、誰の名だか思い出せない。サヴィアーでもシンディでも、ライゼルでもユミでもないが、思い出せないままクレスフィールドの祭りへ行く。
サヴィアーはシンディと待ち合わせし、二人でクレスフィールドへ。サヴィアーも何か忘れているような感覚を抱く。
彼女はアージェに打ち勝ったが、代償に身体を失ったのだ。ようやく全ての戦いを終え、ようやく彼女の人生をこれから始められるという時に。
みんながそのことを知ったらきっと自分を探す。だから、記憶操作でみんなの中から自分の記憶を消したらしい。

ぼくは昔、このとき流れる『世界のかけら』が軽くトラウマで、嫌いな曲だった。あまりにも悲しすぎるから。
原作者Shouさんのコメントでは、悲しい場面でも明るくエンディングを見てほしいとのこと。しかし自分にはこの明るさが逆に切なくて、悲しみをより強く際立たせた。
世界から主人公の体が消え、みんなの記憶からも消え、その様子を主人公がただ一人遠くから見る。そんな時に流れる旋律がもたらす感情は、幼い自分には強すぎる刺激だった。しばらくの間、胸に大きな穴が空いたような感覚で苦しかった。
でもCresを何周も遊び、このエンディングを何度も見てきた今は、やはりこの曲あってこそのエンディングだとよくわかる。


クレスフィールドの酒場にみんなが集まる。戦いから一か月が経ったらしい。みんな何も変わらない。言葉の丁寧なサヴィアー、言葉数の足りないシンディ、一言多いがちのユミと、摩擦の起きがちなディザとの空気感も。
ディザは一言「みんな……か」とつぶやく。このとき彼は何を考えていたのか。朝の寝言の叫びが何だったのかを気になってるのか。
家を出る時も「ガゼールのおっさんも張り切ってる」と言ってた。ガゼールのことを知っているのに、知った経緯を覚えてない。初めて会った時「おやじさん」と言ってたんだぞ。
それにクレイシヴへの復讐心を改めたかっかけも覚えていない。
ナックも、何が兄を変えてくれたのか。ライゼルもユミも、どうして悲しい過去と向き合えたのか。みんなから抜けた“かけら”は決して小さくはないだろうに、何で埋め合わせをしてしまったのか。
ある遺跡で話したことを思い出す。世界にはどうでもいいこと、でも自分たちには大切なこと。
『でも、さよならも言えないなんてね……』

みんなはルナンのいないクレスフィールドの祭りを楽しんでいる。
『これでいいのよね。そう思うでしょ?』、胸が張り裂けそうになるこのモノローグ、「思うでしょ」は一体誰に訊いているのか。
自分自身でも、隣に誰かいるわけでもない。彼女は他にこの世界を覗いている誰かがいるのを知ってて、言ってしまえば第四の壁を超えてこちら側に話しかけているともとれる唯一のセリフ。それでいて超えてきたことに全く違和感がなく、自然とこちらの懐へ流れ込むようなのが不思議。
彼女は「これでいい」と断言したのではなく、確認をしたのは、迷いが残っているからだとしか考えられない。こちらに答える権利があるのなら、「いいわけないでしょ」と言いたい。でもどうすれば良かったかは、正直ぼくもその立場だったらどんな選択を取ったかわからない。

会場でのライゼルのギャグから逃げてきたディザは、ある家の前で、あるものが目に入る。「なんだ……この焦げ跡……」
ここは、こちらからディザに声をかけたくなった。わかるだろ、いつも一緒にいただろ。そこでファイアーボールの話をして、これからどうしようって話をしただろ、“もしも”の話をたくさんしただろ! お前がよく知ってる人だよ!
そしてディザは思い出す、寝言で叫んだ彼女の名を。そしてルナン『思い出さないで』。
ディザにとってこの焦げ跡はルナンとの思い出の象徴だったからこそ、記憶を引き出すことができたんだろう。忘れていた何かがルナンの存在であると気づく瞬間はフラッシュバックの演出もなく、ただ流れてた音楽が止まり、長めの間を置くだけで表現されている。
こちらとしてはディザに思い出して欲しかったので嬉しかった。でもルナンとしては、思い出されて、みんなが自分を探すのを見たくないようだ。まるっきり対極というか……。


ディザはみんなに話す。闇の中で声が聞こえていた……つまり、ルナン以外にも、ディザの自我があの時ほんの少しだけあったということなのか。
アージェが覚醒したが、ルナンが時の逆流からみんなを守ってくれた。それに気づくと同時に、ルナンがいない理由にも気づく。
するとディザは、すぐに探しに出ようとする。みんなが記憶を失くしたのはルナンの仕業。つまり彼女はどこかにいると信じている。しかし方法を訊かれても、そんなん知るかと一本調子。

ここでエンディングの音楽が流れ始め、そして声がつき始める……。僕は少しびっくりして軽くパニックになってしまった。声、会話内容、テキスト演出、音楽、全部魅力的なだけに、どこに集中して堪能したらいいかわからなくなった……2回分見て、思い出しながらゆっくり整理してる。
「どいつもこいつもわかってねえな……ルナンもだ」
ここではディザと、モノローグのルナンが会話のように繋がっている。
「オレ達がルナンを忘れればそれでいいのか?」『じゃあどうすればいいのよ』「自分から遠ざかったらそれまで。悲しみから逃げたら喜びや幸せからも逃げる」
思えば、今までディザのこの言葉の意味をよく理解したことがなかった。つまり、離れているなら近づけばいい、失ったなら取り戻せばいい……彼の中ではそれくらいシンプルなことなのかな。
今は悲しくても、その先にそれ以上の喜びが待っているかも知れないと。ルナンもみんなも、ずっとそうやって悲しみを乗り越えてきた。同じことを今回もする。ディザは可能性に賭けたかったのかも。
「願うんだよ」『願う?』
ここにも回収がある。この物語で定義された“願う”の意味。ディザ風に言えば「やる気とか根性の類」。より正しく言えば、「努力すると誓うこと」。
「ルナン、お前にもう一度会いたいってな」『わたしは、みんなのところに帰りたい』
二人は願う、そして誓う。



そしてエンドロール。さらに時が経つ。
旅人の少女がウェスカを訪れる。かつて入口の女の子が植えた木は大きくなっていて、シューティングスターは21になってて、酒場のマスターは昔トマトジュースを頼んできた少女を懐かしむ。行き先のアネートは町長が変わり、明るく少女を迎える。

お使いを終えた少女は、あの場所へ。

「空も、海も、大地も同じなのよ。違うのは、そこで生きるわたし達だけよ」
十年経っても、千年経っても、人は同じように旅をする。同じように悩み、同じように笑い、泣き、そして同じ風が吹く。全ては戻ることなく流れていく。
あれから、彼女はみんなのところに帰れたのでしょうか。
もし二度と会うことができなかったとしても、彼女らであればきっとそれも受け入れ、やがて肯定していくのでしょう。
だけど、願えばなんだって叶う。きっとみんなは叶えたと信じています。


それと共に、Cresteajuは、やはり20年経ってもCresteajuでした。
20年前の作品を今ここで新しく生まれ変わらせたいという誰かの願いがあり、実際に叶えられたこと、それをこうして自分の手で遊べたことが、本当に嬉しく思います。
より楽しく、深く、たくさんの感動で溢れた奇跡的な体験でした。
発売されてすぐのプレイではありませんでしたが、原作者さん、Switch移植に携わった皆さん、声を吹き込んでくれた皆さん、制作に関わった全ての方に感謝と敬意を表したい気持ちです。
文を読み返すとなんだか大袈裟な気がしなくもないですが、少なくとも、人生でこの作品に出会えたこと、遊ぶために時間を割いたこと、今後の養分となっていくこと、全てが喜びであり自分の誇りです。この気持ちが変わることは永遠にありません。


あとはトゥルーエンドルート。
実はノーマルエンドの余韻に浸る間もなくすぐにイベントを進めてしまい、少し後悔してます。あのメモリーオーブの奥の道ずっと気になってたので……
反則的なボスもどうにか倒し、いま深淵でレベル上げ中。ストーリーもとてもヤバそうな予感。どんな結末なんだろう……?
その感想と、物語全体で感じたことのまとめ的なものを書ければ。



Cresteaju


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