野火止塚
在原業平といえばプレイボーイの浮名が高かった平安時代の歌人であるが、その業平が政争に敗れて、関東に下っていた時、今の新座市一帯を支配するある長者の娘と恋に落ちました。
誘惑したのは言うまでもなく業平でした。
長者はひどく怒って、そんな落ちぶれた貴族なんかには、娘はやれぬと2人の仲を認めようとはしませんでした。
そこで2人は広大な武蔵野の林の中に眠る小塚を、密会の場所に定めて密かに会っていました。
臨済宗の禅道場として知られる平林寺 境内に残る野火止塚は、その密会の時に利用した塚だと言われております。
高さ4mほどの円墳のような形をしたこの塚は、古墳説の他に野火を見張るための防火台説が唱えられています。
この野火止塚には面白い言い伝えがありまして、それはこの塚の周囲を人目に触れず、しかも息を止めて3周、回ると、 近々美女にめぐり会えるというものです。
そのためかどうかは分かりませんが、野火止塚周辺では必死の形相で塚の周りを走り回る若者の姿が、時たま、目撃されるそうです。
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