さざえ堂【怪奇なミステリーゾーン】
会津若松市の飯盛山は明治元年の戊辰の役で官軍に抗した会津藩士の白虎隊が、悲劇的な最後を遂げた場所として知られ、 墓には今も香花が絶えることはありません。ところがその白虎隊の墓の少し先に、異様な景観を見せる奇妙な建物が建っております。
高さは約17メートル見方によっては、4階、いや5階、いや6階ともとれる六角堂 形式のこの建物は、周壁にさざえ貝の渦を連想させる螺旋式の階段を持つことから、さざえ堂と言われております。
このさざえ堂に関しては、寛政8年に郁堂という僧が建立したものだという他には、何一つ詳しいことが分かっておりません。
さざえ堂が奇妙なのは、何も外観ばかりではございません。
そのことは入り口から階段を上ってみればすぐ分かります。
この階段は何周か堂を周りながら、やがて頂上に達するのですが、そのまま進むと 今度は、下に入り、いつの間にか出口に来てしまうのです。
これは階段が二重螺旋の構造をなしているからで、登りから下りまで、2度と同じ階段を通ることはないためです。
もちろんさっき言った入り口とか出口といった区別は、便宜的なもので、そのどちらか一方から登っても結果は一緒です。
二重階段は15世紀にイタリアのレオナルドダヴィンチが初めて考案したとされていますが、このさざえ堂は、郁堂が どこかでダヴィンチのスケッチ図を眼にして、 それをヒントにして設計したのではないかと言われております。
何ともまあ、奇妙な建物でございました。